【監理技術者兼任が可能に】建設業法の要件が見直し

こんにちは!ハマカナです。

建築業界も高齢化が進み、技術者不足が懸念されています。そのような状況下において、専任の監理技術者を適切に配置することは、今後厳しくなると予想されます。

実際に私も何十件もの現場に携わってきましたが、ゼネコンで扱う現場というものは、ほとんど監理技術者を専任で配置する必要があります。正直、各現場毎に監理技術者資格を有する人が【専任】で配置されてしまうと、人が足りない状況が発生します。例えば新築物件の案件が発生しても、【監理技術者を誰にする!?うちの支店に人がいないから、別の支店から引っ張ってきて配置しなくちゃいけない!】ということになり、人事を動かす必要があります。引っ張られる人は転勤となり、家族がいればその調整も余儀なくされます。

そこで今回の要件とは、原則各現場毎に【専任】で配置する必要があった監理技術者を、【兼任】することができるように緩和するとの事です。実は、この緩和前も、監理技術者を兼任する事が可能でしたが、条件としては下記の通りでした。

同一あるいは別々の発注者が、同一の建設業者と締結する契約工期の重複する複数の請負契約に係る工事であって、かつ、それぞれの工事の対象となる工作物等に一体性が認められるもの(当初の請負契約以外の請負契約が随時契約により締結される場合に限る。)については、全体の工事を当該建設業者が設置する同一の監理技術者等が掌握し、技術上の監理を行うことが合理的であると考えられることから、これら複数の工事を一の工事とみなして、同地鵜の監理技術者等が当該複数工事全体を管理することができる

国土交通省発行 監理技術者制度運用マニュアルより引用

兼任できるといっても、【工期が同じで、一体性が認められる工事】ということなので、基本は近接する工事現場での兼任ということで、ほとんど専任に近い状態でした。

また建設業法では、【主任技術者の兼任】についての記載はあっても、【監理技術者の兼任】に関しては、上記で引用した、国土交通省発行の監理技術者制度運用マニュアルのみに記載がある状態です。

そこで今回の要件では、このような範囲の狭い兼任ではなく、もっと実用的な兼任を検討中との事です。その詳細を下に記載しますので、宜しければご覧頂ければと思います。

おさらい:監理技術者を配置・専任する要件

既に知っているという方もいらっしゃると思いますが、念の為おさらいをさせて頂きます。

監理技術者を【配置】する要件は、建設業法第26条第2項で定められており、要約すると下記の通りとなります。

  • 発注者から請け負った建設工事を施工する為に締結した【下請契約の請負代金の額の合計】が4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上となる場合

さらにこの監理技術者を【専任】で配置する要件は、建設業法第26条第3項と建設業法施工令第27条第1項で定められており、要約すると下記の通りとなります。

  • 戸建て住宅を除くほとんどの工事において【下請契約の請負代金の額の合計】が3,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上となる場合

戸建て住宅については、長屋は含まず、併用住宅(非居住部分の床面積が延べ面積の1/2以下であり、請負総額を面積比に按分して求めた非居住部分に相当する請負代金額が専任要件金額基準未満である場合)は含める事になっています。

監理技術者の兼任が可能になる建設業法の見直しの内容とは

監理技術者の兼任が可能になる建設業法の見直しの内容は、結論から申し上げると、下記の図の通りとなります。

簡単にまとめると、各現場毎に、監理技術者を補佐する技士補を専任で配置すれば、監理技術者は兼任可能になるということです。これは、だいぶ楽になるかと思います。また技士補については、現在検討中との事ですが、方向性としては施工管理技士等の学科試験合格者に、〇〇士補(仮称)を与えるとの事です。ですが詳細はまだ出ておりません。

正直現在の監理技術者の職務内容を、監理技術者のみだけで行うのは非常に困難だと思っています。今回のように技士補を配置することに加え、数名の技士補で各工事の担当を受け持つという形にすると、より実態に合ってくると思っています。もし監理技術者の職務内容がご不明という方の為に、下に記載したいと思います。

項目 内容
役割 ・請け負った建設工事全体の統括的施工管理
施工計画の作成

・請け負った建設工事全体の施工計画書等の作成

・下請けの作成した施工要領書等の確認

・設計変更等に応じた施工計画書等の修正

工程管理

・請け負った建設工事全体の進捗確認

・下請間の工程調整

・工程会議等の開催、参加、巡回

品質管理 ・請け負った建設工事全体に関する下請からの施工報告の確認、必要に応じた立ち会い確認、事後確認等の実地の確認
技術的指導

・請け負った建設工事全体における主任技術者の配置等法令順守や職務遂行の確認

・現場作業に係る実地の総括的技術指導

まとめ

現在の所の情報ですとここまでとなります。ただしこの要件が決まれば、かなりフレキシブルに現場を運営することができると思います。

働き方改革で注目が集まる中、2020年の建設需要低下等の問題も直面する状況下である為、建築業界は変わる必要があります。

これからどんどん変革をしていく業界であると思いますので、あなたも注目してみると面白いかと思います。

ここまでお読み頂き誠にありがとうございました。