【民法改正】建築業界関係者が覚えておく7つのポイント

こんにちは!ハマカナです。

2020年4月1日に民法改正が施行され、建築業界でも覚えておく7点の変更がありました。

特にあなたも良く聞いたことがある【瑕疵担保責任】について大きく変更がありました。

青年A
瑕疵担保責任ってゼネコン側からしたら、非常に不利ですよね。引き渡した建物で何か不具合があって発注者からクレームをつけられたら、その不具合を直さないといけないんだよね。

ハマカナ
そうです。ただ、なんでも直さないといけないわけではないけど、立場的にゼネコン側がしぶしぶ直すことが多いよ。

瑕疵担保責任とは、表沙汰に出すと、発注者とゼネコンの間に溝が生まれてしまう可能性が高い内容です。

その内容について、今回の民法改正で、言語の明確化と時効期間の考え方が変更になりましたので、その点について特に詳しく説明させて頂ければと思います。

ここまでのポイント
〇2020年4月1日に民法の改正があった。
〇建築業界でも7点の変更があった。
〇瑕疵担保責任について大きく変更があったので、以下より詳しく説明する。

民法改正で建築業界関係者が覚えておく7つのポイント

まずは民法改正の中で建築業界に与えた7つのポイントについて記載します。

①時効
②請負
③債権譲渡
④相殺
⑤保証
⑥法定利率
⑦定型約款

先ほどより記載している、瑕疵担保責任については【②請負】に明記されております。

それでは特に②請負について詳しく記載したいと思います。【改正の詳細内容】を確認したいと思われた方は、下記で詳細を記載しておりますので、よろしければご覧頂ければと思います。

②請負の内容

民法改正の中での請負の変更内容については大きくは、2つあります。

1つ目は、瑕疵という言葉がなくなり、その代わり【契約の内容に適合しない(契約不適合)】という言葉になりました。

2つ目は、瑕疵(改正後は契約不適合)の時効期間が変更になりました。

瑕疵という言葉は、しばしば判例では、【契約の内容に適合しないこと】と解釈をされていましたので、より分かりやすい言葉にブレイクダウンすべき、ということで、瑕疵という言葉を変更したと言われております。

そしてその契約不適合の期間を、以前は種別ごとに5年もしくは10年と定められていましたが、それを基本的には10年と定めることになりました。(詳細は下記にて)

2つ目の時効期間についてもう少し説明が必要かと思いますので、下に詳しく記載します。

ここまでのポイント
〇請負の変更内容は大きく2つ。
〇1つ目は、瑕疵⇒契約不適合に変更になった。
〇2つ目は、契約不適合の時効期間が変更になった。

契約不適合の時効期間が変更に

早速ですが、下図をご覧ください。

以前の民法では、建築種別によって時効期間が異なっていました。

石造、土造、れんが造、コンクリート造、金属造その他これらに類する構造の工作物については10年となります。

工作物又は地盤の瑕疵であれば5年となります。

一般的にゼネコンが担当するのは前者となりますので、若手の方でも【瑕疵は10年】と認識されている方も多くいられると思います。

それが今回の民法改正によって、建築種別によらず、【竣工引渡し=客観的起算点⇒10年】と【契約不具合発見時点=主観的起算点⇒5年】によって分けることになりました。

(国土交通省発行:建築工事請負契約約款の改正について(案)によると、建築種別で分ける合理性がないとのこと。)

事項については、客観的もしくは主観的起算点から経過した年数で早い方となっております。

例えば、契約不具合をずっと発見しないままだと、10年で時効となります。

契約不具合を竣工引渡しから7年目に発見し、その修復の権利を行使しなかった場合も10年で時効となります。

ただ契約不具合を竣工引渡しから2年目に発見し、その修復の権利を行使しなかった場合は2+5=7年で時効となります。

また契約不具合を発見した場合、原則1年以内に通知をしなくてはいけませんので注意が必要です。1年以内通知の但し書きは、請負人が悪意・重過失の場合を除くとなります。ただその判定は非常に難しいので、基本的には発見した場合、後回しにせず、【すぐに通知】することが望ましいと考えます。

ここまでのポイント
〇民法改正前は、建築種別で時効期間が異なっていた。
〇民法改正後は、建築種別によらず【竣工引渡し=客観的起算点⇒10年】と【契約不具合発見時点=主観的起算点⇒5年】となった。
〇時効の考え方は、いずれか経過した年数で早い方となる為、契約不具合を発見した時はすぐに通知することが望ましい。

まとめ

建築業界に関わりのある民法改正が施行されました。特に②請負に関しては、ゼネコン社員であれば必須で覚えておくべき内容かと思います。

発注者は、契約書に添付する要求仕様書については、極力曖昧な表現にし、発注者が有利なようにしたがります。

ですが、それに甘んじることなかれ。と私は思います。

時にはゼネコン側も要求仕様書の作成に加わり、【より具体的に計画】をし【より具体的な図面・工程】を作成することが良いと考えます。

最初にきちんと計画をしておけば、設計変更などが少なくなるメリットもありますが、今回の民法改正による契約不適合についても明確化されるので、後々のいざこざも少なくなると考えます。

今回の民法改正に対応する為に、実施しなくはいけない事は少ないかと思います。ですが、働き方改革や人手不足など多くの問題を抱えている建築業界。コロナの影響で、働き方を否が応でも変えなくてはいけない現状で、建築業界はどう変わっていくか。期待するとともに、少しでも良い方向に変えられるよう微小ながら力になりたいと考えております。

ここまでお読み頂き誠にありがとうございました。この記事の他にもゼネコンや設備担当、ゴルフ等に関する記事もありますので、併せてお読み頂けると幸いです。