こんにちは!ハマカナです。
施工計画書とは、施工図に記載された内容で施工する為、QCDSEを遵守しつつ、作業方法・業者体系・資材・工程・安全対策・環境対策をまとめる書類となります。
ちなみに施工計画書の位置づけは下記の通りとなります。
上図の通り、設計図に則り施工図を作成し、その作業と並行で、施工するための細かい取り決めをまとめたのが、施工計画書となります。
今回の記事では、実際にスリーブインサート工事の施工計画書を作成する際の重要なポイントについて、私の実体験から記載させていただければと思います。よろしければご覧いただけると幸いです。
○施工計画書とはQCDSEを遵守しつつ、施工するための方法をまとめた書類。
〇今回の記事はスリーブインサート工事の施工計画書についてのポイントを記載する。
施工計画書に記載すべき7つのポイント【スリーブインサート工事】
これよりスリーブインサート工事の施工計画書に記載すべき7つのポイントについて記載させていただきます。
正直施工計画書は、各社フォーマットがあり、そのフォーマットの紐解きをしないまま、そのまま提出されることが多々あります。
そうすると、施工計画書はただの紙切れの集合体となります。
それではダメです!
必ず、その現場での特異性を加味して、自分の思いを記載し、その内容を作業員に周知する必要があります。
周知を実施した後に、施工開始をすると、後戻りがなく、非常に効率的です。
これはTQM(Total Quality Management)に基づく、【品質は工程で作り込む】という思想を色濃く反映させるものとなります。建築業界でもこのTQMという思想は、今後トレンドになると思いますので、必ずチェックしておいた方が良いかと思っています。
これまでの流れを図でまとめると下記の通りとなります。
前置きが長くなりましたが、スリーブインサート工事の施工計画書に記載すべき7つのポイントについて記載させていただきます。
施工計画書に記載すべき7つのポイント
スリーブインサート工事の施工計画書に記載すべきポイントとして、大きく7つあります。
重要なポイント
スリーブサイズ一覧表を作成する
コンクリート打設も考慮したスリーブを計画する
床開口養生要領を記載する
インサート金物の選定と使用区分を記載する
あと施工アンカーの選定と使用区分
チェックリストを作成する
それでは順番に説明させていただければと思います。
スリーブ材料と使用区分を記載する
スリーブ材料とは、紙製・木製・塩ビ・鋳鉄管・亜鉛鉄板・ガルバリウム鋼板・スライド式鉄板があります。これ以外は使用したことはありません。
これらの材料をどの場所に使用するかを決めることが、まさしく施工するための計画書となります。
地下の壁や地中梁にスリーブを取り付ける場合は、水密性を要する必要があるので、鋳鉄管もしくは塩ビ+ スパンシールを使用する。
壁・床の一定の大きさ以下のスリーブについては、紙製のスリーブを使用する。
施工性を考慮し、スリーブを本設として使用する場合は(通常ダクトはスリーブを本設として使用するケースがある)、亜鉛鉄板やガルバリウム鋼板を使用。
ケーブルラックや非常に大きな開口については、木製の型枠を使用。
配筋量が多く長物のスリーブが入らない場所については、スライド式の鉄板スリーブを使用。
などなど、使用場所や計画によって、使用するスリーブの材料が異なりますので、必ずその現場に合わせて施工計画書を作成すると、後戻りがなく品質の良いスリーブを施工することができようかと思います。
ちなみに意外に知らない人がいますが、よく現場で使用される紙製のスリーブについては、使用場所が限定されています。以下は、【公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)】の抜粋となります。
2.2.27スリーブ
(b)(2)柱及び梁以外の箇所で、開口補強が不要であり、かつ、スリーブ径が200mm以下の部分は、紙製仮枠としてよい。紙製仮枠を用いる場合は、変形防止の措置を講じ、かつ、配管施工前に仮枠を必ず取り除く。
公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)より
〇スリーブ材料とは、紙製・木製・塩ビ・鋳鉄管・亜鉛鉄板・ガルバリウム鋼板・スライド式鉄板。
〇その現場に合わせて施工計画書を作成すると、後戻りがなく品質の良いスリーブを施工できる。
〇公共建築工事標準仕様書では紙製スリーブの使用場所が限定されている。
スリーブサイズ一覧表を作成する
スリーブサイズ一覧表とは何のために作成するかというと。一番は実際に通す配管・ダクトの大きさによって、どの程度のスリーブサイズにすれば良いかわかりやすくする為です。
ただ注意が必要なのが、実際の配管・ダクト径では、スリーブ径があまりにも小さすぎるものがあります。
それは、保温が必要な配管・ダクトです。配管・ダクトの大きさに加えて、保温厚さも加味したスリーブサイズにする必要があります。
またフランジ接合が必要な配管・ダクトについても、その配管・ダクトの大きさに加えて、フランジ分の大きさも加味したスリーブサイズにする必要があります。
ただ単純にスリーブサイズ一覧表を作成してしまうと、以上で挙げたような実際の配管・ダクト径では足りないスリーブが発生してしまう可能性があります。そのような配管・ダクトを整理する意味でも、スリーブサイズ一覧表の作成は必要かと思います。
〇スリーブサイズ一覧表は、通すものによってどのスリーブサイズにすればよいかわかりやすくした表。
〇保温が必要なものは、保温厚さも加味したスリーブサイズにする必要がある。
〇フランジ接合が必要なものは、フランジの大きさも加味したスリーブサイズにする必要がある。
コンクリート打設も考慮したスリーブを計画する
コンクリート打設も考慮したスリーブを計画するとは、壁に取り付ける横幅の大きいスリーブの時に必要な計画を指します。
壁に横幅の大きいスリーブがあると、コンクリートを上部から流し込んだ時に、そのスリーブが邪魔をし、スリーブ下にコンクリートが回らなくなる恐れがあります。
そんなときは、上の写真のように、コンクリートの通り道を作ってあげる必要があります。
このコンクリートの通り道がないと、いざコンクリート打設をするときに、土工さんから「てめーで叩け!」と言われる可能性があり、最終的な仕上げを見るとジャンカ(豆板)だらけであることが多々あります。
従って、壁に横幅の大きなスリーブがある場合は、100φ程度のボイドを縦に入れて、コンクリートの通り道を作ってあげることが重要です。
余談ですが、このような大きなスリーブがある場合は、必ず型枠に【ここにスリーブがあります】との表示をすることをおすすめします。表示しないと、コンクリート打設中、いくら叩いても充填されていない音が出るので、土工さんからこっぴどく怒られることになります。
〇壁に取り付ける横幅の大きいスリーブには、コンクリートの通り道を作る必要がある。
〇通り道がないと、スリーブ下にコンクリートが回らなくなる。
〇コンクリートの通り道は、100φ程度のボイドが良い。
床開口養生要領を記載する
床開口養生要領は、きちんと計画をしないと、加害者となり、法的に罰せられる可能性があります。
例えば、1000mm×1000mm程度の床開口をあけて、簡易的な床開口養生しか対策をしなかった場合、もし人がその上に乗ったら、養生を突き抜けて人が落下します。
そうなった場合、階高が仮に5mだとしたら、最悪の場合・・・、この場合、簡易な養生しか対策しなかった業者も罰せられますし、もちろん現場監督であるゼネコンのあなたも罰せられます(きちんと安全管理をしていなかったため)。
また小さい200φ程度の穴であっても、足を突っ込み、転んで骨折をする、なんてこともあります。
従って、自分が加害者にならないためにも、そして被害者を出さないためにも、床開口養生の計画はきちんと行い、施工計画書に記載しておく必要があります。
〇床開口養生をきちんと計画をしないと、加害者となり、法的に罰せられる可能性あり。
〇大きい床開口だと落下する危険性がある。
〇小さい床開口でも足を突っ込み転倒する危険性がある。
インサート金物の選定と使用区分を記載する
床型枠の種類によって、インサート金物を使い分ける必要があります。
詳細は別記事でもご紹介しておりますので、そちらもご覧いただけると、ご理解を深められるかと思います。
インサート工事の際の重要なポイントを記載しています。インサート金物の選定と使用区分についても記載しておりますので、ぜひおすすめ!
幅広い知識取得のためチェック!
現場でコンクリートを打設して床を形成する場合はきちんと計画した上で対応すれば特に問題ないのですが、PCコンクリート床などの工場加工コンクリート床を現場で取り付ける場合は、注意が必要です。
工場加工コンクリート床の場合は、製作図を作成し、その製作図を基に工場でコンクリート床を作成します。
製作図とは、作図⇒チェック⇒修正⇒承諾⇒工場加工、という手順となるので、作図のフェーズではインサート位置を決めておく必要があります。
これがどのくらい大変かは、現場管理を少しやったことがあれば、わかろうかと思います。
現場でインサートを打ち込みをする場合、コンクリート打設まで猶予がある為、直前でのインサート位置の変更・追加が可能です。ただ、工場加工コンクリート床の場合、製作図作図の段階でほぼインサート位置を決め、承諾のフェーズでは、インサート位置の変更・追加は基本できません。
要は早めの計画が必要になるのです。
インサート打設時点では設備施工図が承諾されていることが稀である為、変更されることを想定したインサート位置を検討することも重要です。その検討を早めに実施する必要がある為、工場加工コンクリート床の場合はエンジンのかけ時に注意が必要です。
従って、インサート金物の選定と使用区分を記載することで、現場対応はほぼ確実に実施できますが、工場加工コンクリート床の場合は作図時点からその検討が必要なため、エンジンのかけ時が非常に早くなるので注意が必要となります。
〇床型枠の種類によって、インサート金物を使い分ける必要がある。
〇現場でコンクリート打設する場合、位置の変更・追加はコンクリート打設前。
〇工場加工コンクリート床の場合、位置の変更・追加は図面承諾前。
あと施工アンカーの選定と使用区分
先ほどより記載していますが、【インサート打設時点で設備施工図が承諾されていることが稀】です。
従って、インサート打設したものが使えなく、新たなインサートが必要なことが、どの現場でもあります。
そのような時は、あと施工アンカーに頼る必要があります。
あと施工アンカーは便利なものですが、使い方を間違えると、天井から配管やダクト、ケーブルラックが【落下する】ことがあります。
よって、あと施工アンカーについては、コンクリート強度や打ち込み深さ、そしてアンカー種別によって耐荷重を算出する必要があります。また耐荷重だけでなく、インサート同士が近いことによって起きるコーン状破壊にも気をつける必要があります。
コーン状破壊については、先ほどもリンクを貼り付けた、■【ゼネコン設備担当者必見】インサート工事の重要な7つのポイントとは、に詳しく記載しておりますので、そちらをご覧いただければ幸いです。
〇インサート打設時点では、設備施工図が完成していないことが多い。
〇従って、新たなインサートが必要なことが、どの現場でもある。
〇その際あと施工アンカーを利用するが、耐荷重やコーン状破壊に十分注意して計画する。
チェックリストを作成する
チェックリストとは、検査(コンクリート打設前)をする時に必要となります。
施工した状況に対し、計画通りかどうかを確認するために使用するものとなります。
よって基本的には、あなたが作成した施工計画書をベースにチェックリストを作成すればよいです。
〇チェックリストは検査の時に使用する。
〇施工が計画通り実施されているか確認するために利用。
〇チェックリストはあなたが作成した施工計画書をベースに作成する。
まとめ
施工計画書とは、きちんと計画することによって、品質の良いモノを作ることができる、非常に重要な書類となります。
ぜひ形骸化しないで、自分の思いを載せた施工計画書にして頂ければと思います。
上記で紹介した7つのポイントは抑えて頂き、あなたの経験の中で、肉付けして頂けると、さらにゼネコン設備担当として成長をしていけるのではないかと思います。
ここまでお読み頂き誠にありがとうございました。この記事の他にもゼネコンや設備担当、ゴルフ等に関する記事もありますので、併せてお読み頂けると幸いです。