施工計画書に記載すべき5つのポイント【耐震工事】

こんにちは!ハマカナです。

施工計画書とは、施工図に記載された内容で施工する為、QCDSEを遵守しつつ、作業方法・業者体系・資材・工程・安全対策・環境対策をまとめる書類となります。

ちなみに施工計画書の位置づけは下記の通りとなります。

上図の通り、設計図に則り施工図を作成し、その作業と並行で、施工するための細かい取り決めをまとめたのが、施工計画書となります。

今回の記事では、実際に耐震工事の施工計画書を作成する際の重要なポイントについて、私の実体験から記載させていただければと思います。よろしければご覧いただけると幸いです。

ここまでのポイント
○施工計画書とはQCDSEを遵守しつつ、施工するための方法をまとめた書類。
〇今回の記事は耐震工事の施工計画書についてのポイントを記載する。

施工計画書に記載すべき5つのポイント【耐震工事】

これより耐震工事の施工計画書に記載すべき5つのポイントについて記載させていただきます。

正直施工計画書は、各社フォーマットがあり、そのフォーマットの紐解きをしないまま、そのまま提出されることが多々あります。

そうすると、施工計画書はただの紙切れの集合体となります。

それではダメです!

必ず、その現場での特異性を加味して、自分の思いを記載し、その内容を作業員に周知する必要があります。

周知を実施した後に、施工開始をすると、後戻りがなく、非常に効率的です。

これはTQM(Total Quality Management)に基づく、【品質は工程で作り込む】という思想を色濃く反映させるものとなります。建築業界でもこのTQMという思想は、今後トレンドになると思いますので、必ずチェックしておいた方が良いかと思っています。

これまでの流れを図でまとめると下記の通りとなります。

前置きが長くなりましたが、耐震工事の施工計画書に記載すべき5つのポイントについて記載させていただきます。

施工計画書に記載すべき5つのポイント

耐震工事の施工計画書に記載すべきポイントとして、大きく7つあります。

重要なポイント

耐震クラスと設計用標準震度(Ks値)を記載する
設計用標準震度適用階を図示する
特定天井に該当する室があるか確認する
設備配管等の耐震吊り方法を図示する
チェックリストを作成する

これらのポイントの知識のベースとなるのは、「建築設備耐震設計・施工指針2014年版」となります。この本の紹介をした記事もありますので、よろしければご覧いただけるとさらに知識を深められるかと思います。

併せて読みたい

■【必携!】ゼネコン設備担当におすすめな参考書10冊
・ゼネコン設備担当が頻繁に使用する参考書を紹介しています。10年の経験から厳選したものととなりますので、ぜひおすすめ!
幅広い知識取得のためチェック!

それでは順番に説明させていただければと思います。

耐震クラスと設計用標準震度(Ks値)を記載する

耐震レベルと設計用標準震度ですが、基本的には【設計図に記載】されています。

建物を設計する時、防災拠点として使用する建物であれば、ほとんどが耐震クラスSもしくはAに該当するでしょう。

ごくごく一般の事務所などの建物であれば、ほとんどが耐震クラスAもしくはBに該当するでしょう。

このように【地震後に建物をどのような用途・状態にするか】を検討することによって、耐震クラスは変わります。よって、施工者というよりかは、設計者が発注者と打合せをして決めることになります。(もっと言えば、発注者が建物を構想する時、決めている。それを設計者と打合せして技術・経験的観点からブラッシュアップして設計図に落とし込む。)

その設計者と発注者の大事な思想を見落とさないためにも、施工計画書には耐震クラスと設計用標準震度(Ks値)を記載することをおすすめします

ちなみに、耐震クラスと設計用標準震度(Ks値)については一言では語れないので、章分けして解説したいと思います。ご存じの方は、お手数ですがこの章を飛ばしていただけると助かります。

■耐震クラスとは

耐震クラスとは、先ほどご紹介した、「建築設備耐震設計・施工指針2014年版」内に、(社)公共建築協会の「官庁施設の総合耐震計画基準及び同解説」(平成8年版)において、耐震クラスの適用にについての記述があります、と記載されております。

その記述内容について、(社)公共建築協会の「官庁施設の総合耐震計画基準及び同解説」(平成8年版)から引用いたします。

(社)公共建築協会 「官庁施設の総合耐震計画基準及び同解説」(平成8年版)より引用

つまり耐震クラスとは、建物の用途が【特定の施設or一般の施設】で分かれており、さらに【重要機器or一般機器】で細分化されております。

【重要機器or一般機器】であるかは、上記の引用にも記載があります。イロハニホに該当すれば【重要機器】でそれ以外を【一般機器】としています。

【特定の施設or一般の施設】であるかは、同書に記載されていますので、その記述について引用いたします。

(社)公共建築協会 「官庁施設の総合耐震計画基準及び同解説」(平成8年版)より引用

【特定の施設】とは「その他」以外に該当する建物を指し、【一般の施設】とは「その他」に該当する建物を指すと、記述されております。

これらを読み解くと、【特定の施設で重要機器】が耐震クラスS、【特定の施設で一般機器もしくは一般の施設で重要機器】が耐震クラスA、【一般の施設で一般機器】が耐震クラスBと考えることができます。

あなたの会社が、耐震クラスをどのように定義をしているかは不明ですが、このような根拠があることを認識していただくと理解がより深まるかと思います。

■設計用標準震度(Ks値)とは

設計用標準震度とは、【設備機器に作用する地震力】を算定するために使用します。

設備機器に作用する地震力は大きく分けて2種類あります。

その2種類とは、設計用水平地震力(FH)と設計用鉛直地震力(FV)となります。

これらを算出するために、設計用標準震度(Ks値)が必要となります。その算出方法は以下をご覧ください。

これらの値を算出することで、機器を固定する【アンカーボルトの選定】や【基礎仕様の検討】が可能となります。また上図にZ:地域係数とありますが、それは地域ごとに決められている係数となります。下記をご覧ください。

静岡県HPより引用

上図は、静岡県では地域係数Zを1.2と定め、平成29年10月1日から義務化するという公式発表資料となります。それ以外は、色分けされた数値通りとなっています。

設計用標準震度と地域係数から、設備機器に加わる地震力を求め、各種検討をすることができます。

ここまでのポイント
〇耐震クラスとは、地震後に建物をどのような用途・状態にするかで決定される。
〇設計者と発注者の思想を見落とさないためにも、耐震クラスと設計用標準震度を施工計画書に記載する。
〇設計用標準震度と地域係数から、設備機器に加わる地震力を求めることができる。

設計用標準震度適用階を図示する

先ほど記載した設計用標準震度については、階ごとに数値が異なります。

【地階及び1階】と【屋上及び塔屋】については明確に分かるかと思いますが、上層階と中間階は曖昧かと思います。

ただ「建築設備耐震設計・施工指針2014年版」には、上層階と中間階についても明確に記述されております。要約すると下記の通りとなります。

これらを考慮した上で、タイトル下に貼り付けたような図面を作成し、施工計画書に記載すると、非常に分かりやすく整理でき、間違いが少なくなります。

一点注意が必要なのが、タイトル下に貼り付けた図のように、3階建ての建物で【2階の床】に設置する機器は中間階に該当しますが、【2階の天井(上層階のスラブから支持)】に設置する機器は上層階に該当しますので、お間違いなく。

ここまでのポイント
〇設計用標準震度は、階ごとに異なる。
〇中間階は、地階及び1階を除く階で、上層階に該当しない階を指す。
〇設計用標準震度適用階を図示すると、分かりやすく整理ができ、間違いが少なくなる。

特定天井に該当する室があるか確認する

特定天井とは、建築基準法施行令第39条に記載されております。その条文には、天井について【風圧並びに地震その他の震動及び衝撃によって脱落しないようにしなければならない】旨規定されております。

その建築基準法第39条をベースに、平成26年4月1日に【天井脱落対策に係る基準を定め、建築基準法に基づき、新築建築物等への適合を義務付け】しました。

従って特定天井に該当する室については、天井脱落対策に係る基準をクリアした天井にしなくてはならないという事になっております。

それではどのような室が特定天井に該当するのでしょう。下記をご覧ください。国土交通省より発行された「建築物における天井脱落対策の全体像」から引用した図となります。

つまり、【6m超】の高さにある、【面積200m2超】【質量2kg/m2超】の吊り天井で、【人が日常利用する場所に設置されている天井】は、特定天井に該当し天井脱落対策を実施しなくてはならないという事です。

この特定天井に該当すると、設備機器の吊り方法が通常と異なってきます。

吊り方法については、設計者との打合せによるところが大きいのですが、例えばダウンライト照明などは脱落しないようにワイヤで支持する(吊りボルトなどから)などの対策が必要となります。

一番やっかいなのが、特定天井の考え方で【天井が揺れた時に壁に衝突しないように設計】されると、天井と壁のクリアランスを設けることになります。

その思想を設備機器に当てはめると、天井と(上階スラブから吊る)設備機器にクリアランスを設ける必要が出てきます。(天井に支持するダウンライトやスピーカーなどの軽量機器については、天井と一体になって動くため、クリアランスは不要)

従って、特定天井に該当する室があれば、設計者とよく打ち合わせを実施し、設備機器の吊り方などを決定させ、施工計画書に記載させる必要があります。国土交通省発行の文書となるため、より厳密に、かつ建築のみならず設備も追従される必要があります。

ここまでのポイント
〇特定天井とは、建築基準法施行令第39条に記載されている。
〇平成26年4月1日に天井脱落対策に係る基準を定め、建築基準法に基づき、新築建築物等への適合を義務付けした。
〇特定天井に該当すると、設備機器の吊り方が通常と異なる。

設備配管等の耐震吊り方法を図示する

設備配管等の耐震吊り方法については、「建築設備耐震設計・施工指針2014年版」に詳細の記載があります。支持材の選定まで記載されていますので、ぜひ一読されると良いかと思います。

とはいえ、どのようなイメージか見当もつかない方の為、耐震支持の一例を載せます。下記は、公共建築設備工事標準図より引用した図となります。

公共建築設備工事標準図より引用

これらの要領に従い、適切な間隔で耐震支持を取る必要があります。その適切な間隔とは下記の通りとなります。

耐震支持は、国土交通省発行の文書にも記載があるため、基本的にはこちらの要領を参考に、設備配管等の耐震支持を取る必要があります。そのため、きちんと施工計画書に記載し、施工間違いがないようにしなくてはなりません。

ここまでのポイント
〇設備配管等の耐震吊り方法については、「建築設備耐震設計・施工指針2014年版」に詳細が記載されている。
〇耐震支持は、適切な間隔で儲ける必要がある。
〇耐震支持は、施工計画書に記載し、施工間違いがないようにすべき。

チェックリストを作成する

チェックリストとは、検査(耐震対策実施後)をする時に必要となります。

施工した状況に対し、計画通りかどうかを確認するために使用するものとなります。

よって基本的には、あなたが作成した施工計画書をベースにチェックリストを作成すればよいです。

ここまでのポイント
〇チェックリストは検査の時に使用する。
〇施工が計画通り実施されているか確認するために利用。
〇チェックリストはあなたが作成した施工計画書をベースに作成する。

まとめ

いかがでしたでしょうか。施工計画書とは、きちんと計画することによって、品質の良いモノを作ることができる、非常に重要な書類となります。

ぜひ形骸化しないで、自分の思いを載せた施工計画書にして頂ければと思います。

上記で紹介した5つのポイントは抑えて頂き、あなたの経験の中で、肉付けして頂けると、さらにゼネコン設備担当として成長をしていけるのではないかと思います。

ここまでお読み頂き誠にありがとうございました。この記事の他にもゼネコンや設備担当、ゴルフ等に関する記事もありますので、併せてお読み頂けると幸いです。