こんにちは!ハマカナです。
配線工事は、電気設備工事のメイン工事であり、電気を語るうえで欠かせない工事です。
配線工事の役割は下記の通りとなっております。
○電気機器を動かすことや電気信号を送る為の、電気の道を作る作業である。
電気の道を作るとは、非常に重要なことです。道さえできれば、電気は光と同じ速度で進みますので、30万km/sの速さ(厳密にいうと、ところてん方式で電子が押し出される)で、電気機器に電気を送ることができるのです。
電気機器には電気がないと、ただのガラクタです。そのガラクタを、便利でかつ有益なものに変換することができる配線工事は、電気工事にとってメイン工事であることはお分かりいただけるかと思います。
今回の記事では、実際に配線工事を実施するときの重要なポイントについて、私の実体験から記載させていただければと思います。よろしければご覧いただけると幸いです。
配線工事現場管理での重要な7つのポイント
これより配線工事の際の重要なポイントについて記載させていただきます。
配線は、配管の中に入れて敷設することもありますし、ケーブルラックに載せて敷設することもありますし、裸のまま敷設することもあります。
ケースバイケースで使い分けを行いますが、高圧ケーブルは他との離隔が必要なので、配管で保護することが多いです。
ケーブルラックは、大量の配線を運ぶのに適しており、また将来的に配線を敷設する場合も利用できるため、汎用性が高いです。
それではそれらを使用して配線をする際の、重要なポイントについて記載いたします。
重要な7つのポイント
配線工事の重要なポイントとして、大きく7つあります。
重要なポイント
電圧降下などを加味し幹線計算を行っているか。
配線を束ねる本数は7本以下であるか。
温度の高い配管に接触していないか。
弱電配線と離隔が取れているか。
余長が取れているか。
点検口の位置に配線をしていないか。
それでは順番に説明させていただければと思います。
総合図にてスイッチコンセント等の位置・高さ等が決定しているか

電気設備といえば、総合図が命といわれるくらい、非常に重要な図面となります。
総合図によって、配線を敷設する場所が決まります。いわばゴール(目標)を決める図面となります。
ゴールが決まっていれば、そのどのように施工するか、という計画も立てられます。総合図から派生して各種施工図を作成することができます。
よって、その重要な総合図でスイッチコンセント等の位置・高さ等が決定しているかが、まず何より先に確認するポイントとなります。必ず施工前には確認して、手戻りがないようするとコスト・工期的にもメリットが発生します。
現在時短が必要だと言われているご時世ですから、【みんなが楽に】【後戻りがない】ように管理して上げるのも、ゼネコン現場監督に求められるスキルになります。
電圧降下などを加味し幹線計算を行っているか

「幹線計算など設計の仕事だよ」「そもそも幹線計算って何」と思われている方、施工フェーズでも幹線計算は必要です。
もちろん設計時点でも幹線計算を行い、幹線サイズ・ブレーカーサイズを決定しています。
ただ、設計図通りに現場が進むことはほとんどなく、施工フェーズにて設計図からガラッと変わることも少なくありません。
その場合、サブコンさんはもちろん幹線計算はしていますが、ゼネコン社員も必ずその計算書を確認しましょう。
幹線計算でミスがあると、過負荷でブレーカーが頻繁に落ちたり、最悪の場合過電流で火災、そして配線の敷きなおしが発生します。
そしてそのミスは、質(たち)が悪いことに、【竣工後、建物が使用されるとき】に気づきます。
そうなっては、被害が大きすぎます。
従って、少し軽視されがちな電圧降下なども加味した幹線計算を行っているか確認し、内容までチェックしましょう。
ちなみに電圧降下については、内線規程に数値が謳われていますので、参考に載せておきます。

配線を束ねる本数は7本以下であるか

配線の数は慣例的なところが大きいですが、よく【配線は7本を超えて束ねてはだめ】と社内検査等で言われます。
根拠は、配線を束ねすぎると熱が発生し、ケーブルの被覆が破れ、ショートしてしまい、最悪火事になる可能性があるからです。
また熱を帯びると、許容電流値が下がります。
では具体的な数値は?と言われると、正直7本が危険とは言えず、かなり安全側で見ている本数となっています。
ですが、7本もあれば、それらに囲まれる配線があり、その配線は熱がこもりやすい状況となり、やはり気持ち的にも、7本以上は危険かなという感じがします。
従って、慣例的とは言え、配線に悪影響を与えかねないので、配線は7本以下で束ねることをおすすめします。
こだわりのある方は、一度発熱量などを計算してみるとよいです。慣例的ではなく論理的に本数を求めて自分の中の基準を作る事は重要だと思います。
温度の高い配管に接触していないか

これは先ほどの理由と似ています。配線の温度が上がれば、ショートする可能性もあり、また許容電流値も下がります。
では温度の高い配管とは何かというと、すぐに思いつくのは温水配管ですね。そして温水を流す排水管、一般的な建物ではあまり施工しない蒸気配管等々が挙げられます。
それらの配管に接触することは少ない、と思っているあなた。実はよく見てみると、かなり接触していることがあります。
先ほど説明した理由により配線に大きく悪影響を与えることから、配線が温度の高い配管に接触していないか、必ず確認しましょう。
予防策の一つとして、電気配線の施工要領書に、先ほど挙げた温度の高い配管の【管種の写真】を掲載し、この配管には絶対に接触しないことと、あらかじめ教育していくことをおすすめします。後は日々の管理で防止をします。
弱電配線と離隔が取れているか
強電と弱電は接触しないようにしなくてはいけないのは、感覚ではご存知かと思いますが、きちんと公共工事標準仕様書にも記載されています。
詳細は下記でリンクを張り付けておきますが、【ゼネコン設備担当者必見】電気設備施工図の20のチェックポイント内に記載しています。
結論としては、低圧配線は弱電配線と【接触したらダメ】です。高圧配線と弱電配線と【0.15m以上の離隔が必要】です。
ただし、私も経験があるのですが、舞台放送用のケーブル(弱電配線)と低圧配線が接触せずに、100㎜位離れていたのですが、舞台放送用のケーブルにノイズが乗ってしまいました。
結局500㎜以上の離隔を取りノイズが消えることになりましたので、接触しないようにするのではなく、適切に離隔を取ることをおすすめします。後から【どこが悪さをしているか調べる】ことは非常にお金と時間がかかります。ぜひ最初から離隔を取る計画と立て、きちんと管理することをおすすめします。

・ゼネコン設備担当が必ず確認する電気施工図についてチェックポイントを詳しく記載した記事です。弱電配線との離隔についても詳しく記載しています!
幅広い知識取得のためチェック!
余長が取れているか
何事にも【余裕を持つこと】は大事です。配線ももちろん該当します。
特に建物を貫通して敷設する配線は、余長をきちんと取らなくはなりません。
なぜなら建物は揺れます。その建物の揺れに対し、揺れを吸収することが必要です。
配線の余長がきちんととれていると、その揺れを吸収することができます。
逆に、余長がとれておらず「ピンッ」と張った状態の配線だと、最悪の場合破断してしまう可能性があります。
冒頭でも記載した通り、電気の通っていない電気機器はただのガラクタとなります。従って、そうならないためにも、配線に余長を取ることは重要なことになります。
点検口の位置に配線をしていないか

点検口を開けたら、配線がびっちり通っていて、配線を移動させなくてはいけない状況は、正直、どこの現場であり得ます。
点検口の位置を、養生テープなどで軽量下地に表示をしていれば、このような出来事は少なくなりますが、どうしてもそこまで気にして施工することができないこともあります。
また急遽後から点検口を増やした場合は、もうどうしようもありません。泣く泣く配線を移動させるしかありません。
とはいえ、どのようなケースでも、点検口を開けたら基本的には、身体が入らないと、点検口の意味がありませんので、点検口の位置に配線をしていないかチェックし、ある場合は移動するようにしましょう。
先ほど記載した、配線に余長があればすぐに移動できますので、このような場面にも使える【余長を取る】ことは意識しておくとよいです。
まとめ
配線工事とは、建物にとって重要な工事であり、我々ゼネコン設備担当もポイントを抑えて管理する必要があります。
上記で紹介した7つのポイントは抑えて頂き、あなたの経験の中で、肉付けして頂けると、さらにゼネコン設備担当として成長をしていけるのではないかと思います。
ここまでお読み頂き誠にありがとうございました。この記事の他にもゼネコンや設備担当、ゴルフ等に関する記事もありますので、併せてお読み頂けると幸いです。