配管工事現場管理での重要な7つのポイントとは

こんにちは!ハマカナです。

ゼネコン設備担当であれば、配管工事はメインの工事であるため、少なくても今回ご紹介する7つのポイントは抑えておく必要があると考えています。

ちなみに配管工事の役割は下記の通りとなっております。

配管工事の役割
○供給元から需要場所まで、流体や気体及び配線を運ぶ為の安全な通路を作る作業である。

上記の役割のほかにも、不要な流体(便所の排水など)を流すための通路として配管工事を実施することもあります。建物には水やお湯、ガス、電気が必要です。それらがないと建物として機能しません。配管工事とはそれらの水やお湯、ガス、電気を建物に供給するための通路を作り、建物に命を吹き込むことになります。

このように配管工事とは非常に重要な工事となります。

その配管工事において、ポイントを抑えて施工することは、建物の出来を左右するほどのインパクトがあります。

今回の記事では、実際に配管を施工する時の重要なポイントについて、私の実体験から記載させていただければと思います。よろしければご覧いただけると幸いです。

配管工事現場管理での重要な7つのポイント

これより配管工事の際の重要なポイントについて記載させていただきます。

今回の記事で記載することは、基本的には配管を施工する際の重要なポイントとなります。配管を設計するうえでの重要なポイントについては、施工者としても施工するうえでは非常に重要な要素となりますので、今後記載していければと思っております。

それでは配管工事を施工するうえで重要なポイントについて記載いたします。

重要な7つのポイント

配管工事を施工する際の重要なポイントとして、大きく7つあります。

重要なポイント

他の吊りものと干渉しないか事前にチェック。
現場で勝手にルート変更したところは注意して見る。
配管が複数本並行する場合は、地震時の干渉による破損を防ぐ為に共同吊りとする。
耐震振れ止めの吊り方に注意する。
塩ビの接続は色付き接着剤と差込代マーキングを要チェック。
現場でも異種金属接合がないかチェック。
配管耐圧試験は配管施工前におおまかに計画する。

それでは順番に説明させていただければと思います。

他の吊りものと干渉しないか事前にチェック

施工図を作成する際は他設備の絵も入れて干渉をチェックしますが、施工前(もしくは部材を発注する前)に再度一番最新の施工図同士を重ね合わせることをおすすめします。

給水・通気・消火配管やダクトなどの現地でルートを変更しても影響の少ない設備は事前にチェックしないでも最悪何とかなりますが、排水・冷温水・蒸気・エアー配管やケーブルラックなどの現地でルートを変更すると影響が大きい設備は現地では何ともすることができないことがあります。

よって、施工する前(もしくは部材を発注する前)に最新の施工図において重ね合わせを実施し、実際に設備を吊り込んでいった時のいざこざを最小限にすることは、現場を管理する側からも楽になります。

現在時短が必要だと言われているご時世ですから、【みんなが楽に】【後戻りがない】ように管理して上げるのも、ゼネコン現場監督に求められるスキルになります。

現場で勝手にルート変更したところは注意して見る

工事現場において、事前の計画がどれだけ重要かはほかの記事でも再三記載しておりますが、その【計画通りに進まなかった部分は要注意】と覚えて頂きたい。配管工事でいうと、【施工図で記載したルートや高さでは施工できなかったから、現場で考えてルート変更をする】が非常に注意をしてみるポイントとなります。

ただし、現場で考えてルート変更をするということは往々にして発生します。これをすべてゼネコンで管理するのは非常に骨の折れる仕事になります。なのでサブコン任せあるいは職人さん任せになってしまうところは多々あります。

そうすると我々ゼネコンはどのようなところをチェックするかというと、施工図作成時に設備などが込み合う部分で配管を敷設するエリアを事前にインプットしておくのです。その部分において現場を確認し、勝手にルート変更をした部分がないか確認するのです。

得てして、勝手にルート変更した部分をゼネコンにこまめに報告するサブコンはそうそういないものです。逆にゼネコンもそんな細かいところで報告するなよと思うところもあります。なので勝手にルート変更したところも報告が上がることは稀です。

従って、自分で当たりを付け、現場でルート変更した部分は重点的に確認するようするとよいです。

配管が複数本並行する場合は、地震時の干渉による破損を防ぐ為に共同吊りとする

配管を吊る吊りボルトは、触れば曲がりますし、長ければ長いほど曲げの範囲は大きくなります。そのような吊りボルトで吊っている配管は、配管同士が近いと、地震時などで揺れたとき、接触し破損してしまう可能性があります。そんなときは共同吊りが必要です。下記の図をご覧ください。

アングルなどの形鋼で配管を一緒に固定し、もし揺れたときでも同じ動きにしてあげれば接触することはありません。

施工図の際に気づけば儲けものですが、そこまで気づくことは少ないです。

よって現場でこのように配管同士が非常に近接している場合は、保温材を一部巻いたりしてクッションを付けてあげるのも有効です。【発見してしまった時点の費用対効果】を考えてあげることもゼネコン設備担当に求められるスキルかと思います。(安く済めば、ゼネコンも職人さんも喜ぶ為信頼を得られます。ただ効果が低いと、後戻りになる可能性がある為、そのトータル的なジャッジが必要です。)

耐震振れ止めの吊り方に注意する

別記事【必携!ゼネコン設備担当におすすめな参考書10冊】でも紹介していますが、建築設備耐震設計・施工指針が2014年に改訂されて、配管の耐震振れ止めの吊り方についてはっきり明記された内容でもあります。下記をご覧ください。

従来では、吊りボルトを抑えるように耐震支持をしていましたが、これでは配管自体は固定されていないため、揺れてしまいます。正直今思えば当たり前のことですが、以前は当然のように図の左手側のような吊りをしていました。

現在の考え方では、図の右手側のように配管自体を掴んで固定するような吊り方に変わっています。この吊り方法であれば地震時でも非常に揺れづらく、【いわゆる耐震支持】に合致していると言えます。

よって、耐震振れ止めの支持と言ったら、建築設備耐震設計・施工指針が2014年にも記載されている通り、図の左手側ではなく、右手側になりますのでご注意ください。

併せて読みたい

■【必携!】ゼネコン設備担当におすすめな参考書10冊
・ゼネコン設備担当が頻繁に使用する参考書を紹介しています。10年の経験から厳選したものととなりますので、ぜひおすすめ!
幅広い知識取得のためチェック!

塩ビの接続は色付き接着剤と差込代マーキングを要チェック

塩ビの配管は、【配管は塩ビ】と定着している位、メジャーな配管種となっています。その配管は施工性の高さや安価で品質も良いことから、いろんな流体を流す際に使われます。

その塩ビ配管を現場に確認する際は、主に色付き接着剤と差込代マーキングとなります。以下の図をご覧ください。

塩ビ配管は基本的には接着剤での接合になる為、【接着剤が接合部まできちんと塗布されているか】が管理の重要なポイントとなります。上図のような手順で塩ビ配管は接合されることから、我々ゼネコン設備担当は、上図の②で記入した標線(差込代マーキング)が④の段階で継手とぴったり合っているか確認をすることが重要です。

その際に、色付きの接着剤を使用することで、継手から少しあふれてくるその接着剤を確認することで、きちんと接着剤が塗布されていることがわかります。

以上塩ビ配管はこの2点を確認することで、大半の施工品質の確保ができることになります。

現場でも異種金属接合がないかチェック

一般的に、施工する前に施工計画書を作成し、異種金属接合について計画書内に記載することがほとんどかと思います。よって、配管の接続部に関しては、コア内蔵の継手や絶縁継手などを使用し、異種金属による腐食対策は行われていることがほとんどです。

参考までに、金属の電位に関する資料を下記に添付します。一般的に電位が離れるほど、電食が発生しやすくなり、電位が【卑】の金属が腐食することになります。よく飲み水用の水槽に使用されるSUS316は電位的にも優位である為、さびないで何十年も使用できるのです。

出典:電気学会「電食・土壌腐食ハンドブック」

継手については、先ほども記載した通り、事前の計画によって腐食対策を行っていますが、意外と見落としがちなのが、【吊りバンドと配管】の接触部になります。この点を現場で確認すると良いです。

吊りバンドは、一般的には鋼に電気亜鉛メッキを施しているものが多いです。この吊りバンドにSUSの配管を接触させてしまうと・・・上図を見て頂ければお分かりの通り、吊りバンドが腐食します。

吊りバンドが腐食すると、最悪の場合配管が脱落してしまうことになります。

そのようなことにならないためにも、我々ゼネコン設備担当は、吊りバンドがSUS製のものを使用しているか、もしくは亜鉛めっきの吊りバンドとSUS配管が接触する部分に絶縁テープが巻かれているかチェックする必要があります。

この点をチェックすることで、大きな災害の可能性を防ぐことができます。余談ですが電食については、時間をかけて腐食するものになりますので、数年で不具合が発生することは少ないものです。なので軽視されがちですが、このあたりの配慮ができるゼネコン設備担当は、いわゆる優秀な部類となります。

配管耐圧試験は配管施工前におおまかに計画する

配管を施工し終えたら、耐圧試験を実施し、施工した配管が問題なかったかチェックをするのですが、この耐圧試験が出たとこ勝負になることが多いです。

理想は、配管施工前に系統図レベルで良いので、どこにバルブがあって、どこにでエアー抜きをして、どこで排水をするかを決めておくことが良いです。

その決めた部分は、耐圧試験においてマストになる部分である為、施工する時に十分注意して施工し、また管理する部分となります。

我々ゼネコン設備担当は、やることが非常に多いです。その中でポイントを絞り管理・実施することは非常に重要なことになります。耐圧試験においても、計画なしの出たとこ勝負よりかは、あらかじめ計画して実施することの方が、はるかに管理をしやすくなります。

従って、配管耐圧試験は配管施工前におおまかでも良いので計画することをおすすめします。

まとめ

配管工事とは、建物にとって重要な工事であり、我々ゼネコン設備担当もポイントを抑えて管理する必要があります。

上記で紹介した7つのポイントは抑えて頂き、あなたの経験の中で、肉付けして頂けると、さらにゼネコン設備担当として成長をしていけるのではないかと思います。

ここまでお読み頂き誠にありがとうございました。この記事の他にもゼネコンや設備担当、ゴルフ等に関する記事もありますので、併せてお読み頂けると幸いです。