【ゼネコン設備担当者必見】空調設備施工図の20のチェックポイント

こんにちは!ハマカナです。

まず施工図の位置づけとしては、設計図の詳細図面であり、実際に現場で施工する為の情報が記載された図面となります。なので、施工図を作成する時は、我々ゼネコン設備担当の思いを記載することで、それが現場で実際に施工されることになります。

これは重要な意味を持っています。つまり【施工図を通して、現場の職人さんに間接的に指示をしていることになります。】

従って、施工図は現場を進めるうえで、大きな役割を持っていることがお分かりいただけるかと思います。

今回ご紹介する内容は、空調設備施工図になります。空調設備となりますので、熱源機器、ダクト設備、空調配管設備、冷媒配管設備、換気設備、自動制御設備などがありますが、今回はこれらの空調設備全般に共通する内容のチェックポイントを記載したいと思います。

ここまでのポイント
○施工図とは、現場で施工するための情報が記載された図面である。
〇施工図を通して、現場の職人さんに間接的に指示をしている。
〇今回の記事は空調設備全般に共通する内容のチェックポイントを記載する。
目次

空調設備施工図全般に共通する20のポイント

これより空調設備施工図全般に共通する20のポイントについて記載させていただきます。

先ほども記載した通り、施工図とは現場の職人さんに間接的に指示ができる書面となりますので、自分の思いをたくさん載せた方が、自分の思い通りの設備が完成します。

その思い入れがあることは、感情的にはなりますが、現場にこだわりを持つことになり、その現場が好きになります。現場が好きになると、良いものを創りたいという気持ちになり、発注者にも喜ばれることになります。発注者に喜ばれれば、また御社に発注したいという気持ちが強くなり、自分の会社が喜ぶことになります。

そのような好循環を生む為にも、施工図に思いを載せることは重要かと思っていますので、ぜひ施工図は【サブコン任せにしないで】自分の思い・考えを載せるようにすると良いと考えています。その思いを載せる為にも、この記事がすこしでもあなたのお役に立てるのであれば幸いと思います。

20のポイントの紹介

空調設備施工図全般に共通するポイントとして、20個あります。

①設計図の特記仕様書の内容が反映されているか。
②設計計算書を入手し内容を確認しているか。
③設計変更指示書や質疑応答書の内容が反映されているか。
④工事区分は確認しているか。
⑤耐震レベルは確認したか。
⑥異種金属接続は施工計画書でまとめたか。
⑦機械室や屋上においてメンテスペースは確保されているか。
⑧流体を運ぶ配管が電気関係の室または盤上を通過していないか。
ダクトの用途・径が記載されているか。
⑩バルブ・メーターの位置は、操作または点検のしやすい位置にあるか。
⑪点検口はメンテナス可能な位置・サイズを建築依頼したか。
⑫工事中や更新時の機器の搬出入ルート・マシンハッチ・吊りフックは計画したか。
⑬機械設置場所の位置・重量を構造設計者に提示し承認をもらったか。
⑭フレキ・防振・伸縮継手の仕様及び設置位置は計画されているか。
⑮ガラリの位置・サイズをチェックしたか。
⑯機器に接続する配管は取り外しがし易いように、フランジで接続や取り外しスペースなどを考慮してあるか。
⑰機器発生音による影響をチェックしたか。
⑱防水層下にアンカー打設をする計画になっていないか。
⑲総合図が承認されているか。
⑳建築図面が最新の状態か。
朱書きは空調設備特有のチェック内容

これらをチェックして頂ければ、空調設備施工図全般に共通する部分としては特に問題ないかと思いますが、【なぜこれらのチェックが必要か?】と疑問に思われた方は、下記で詳細を記載しておりますので、よろしければご覧頂ければと思います。

①設計図の特記仕様書の内容が反映されているか

設計図の特記仕様書には、【設計者が特に注意してほしい内容】が記載されています。この特記仕様書の位置づけは、国土交通省発行の公共建築工事標準仕様書の1章一般共通事項にも記載がある通り、下記のような優先順位となっております。(①に行くほど優先順位が高いことになります。)

  1. 質問回答書(質疑回答書とも言います。名称はさまざま)
  2. 現場説明書
  3. 特記仕様書
  4. 図面
  5. 標準仕様書

従って、図面よりも高い位置づけになるので、図面や標準仕様書で記載されていることよりも、特記仕様書の内容が上位になる為、設計図の特記仕様書は必ず確認をし、施工図に反映させる必要があります。

②設計計算書を入手し内容を確認しているか

現場において、設計図通りに施工できることは稀です。通常は発注者から【やっぱりこうしたい!】という要望があり、設計図からの変更があるものです。また、施工者自身も、設計スペックを保ちつつなるべく施工しやすく安価な方法で施工をするように変更することがあります。

その場合、設計図を描く時に使用した【設計計算書】の意図から大きく外れていないか確認する必要があります。

設計計算書とは、設計者のいくつもの思いが込められている、非常に大事な書類です。例えば空調機を選定する時は、その室の熱負荷(人が発生させる熱、照明やOA機器が発生させる熱、その他機器から発生される熱、外から伝わる熱、隣室から伝わる熱など)を積み上げ、その熱負荷を処理できるための能力と、室内を温湿度を何℃何%にするか設定し、空気線図等を用いるなど、あらゆる情報から空調機を選定をします。

単純に一つの機器を選定するにも、その室を使う人や、工場でいうとその室で作られる製品の事を考え、最適なものを選定するのです。物語があるのです。

その思いを無視して施工することは、当初設定したベクトルから外れることになるので、基本的には無視してはいけません。

従って、設計図から変更した部分は特に、設計の思いが込められている設計計算書を確認し、ベクトルがずれていないか確認が必要です。

③設計変更指示書や質疑応答書の内容が反映されているか

設計変更指示書や質疑応答書は①で記載した優先順位の一番高い内容です。

よって図面や特記仕様書などよりも優先させる内容である為、必ず確認が必要です。

新築でこれらがない現場はあり得ないです。私は経験がありません。必ず見るようにしましょう。

④工事区分は確認しているか

設計図に工事区分の記載があります。特に別途工事なのか本工事であるのか確認が必要です。

別途工事と思っていたのが、実は本工事であった、ということは意外にも少なくはない出来事です。

必ず施工図を記載する時点では確認し、手戻りがないようにするとよいです。

⑤耐震レベルは確認したか

例えばあなたが建設する建物が工場内の災害拠点になる、というコンセプトの建物であれば、おそらく耐震レベルは高いです。

おそらく設計図にもその旨記載されていると思います。

そのレベル設定は、設備機器にも適用されますし、配管・ケーブルラック・ダクトなどの吊り物にも適用されます。この耐震レベルを間違うだけで、後戻りのインパクトは計り知れません。

必ず確認し、できれば設計者からきちんと意図を確認することをおすすめします。

⑥異種金属接合は施工計画書でまとめたか

異種金属接合を行うと、配管が腐食し、水漏れが発生します。おそらく建物が竣工し、数年あるいは十数年経ったころにようやく【異種金属接合をしてしまい、水漏れが起きてしまった】と気づきます。

従ってすぐに不具合が起きるわけではないのですが、不具合が起きた時のインパクトは大きいので、必ず施工計画書で事前に計画してから施工図などの絵におこすようにすると良いです。

ちなみに異種金属接合について少し詳しく説明した記事もありますので、興味があればこちら(【ゼネコン設備担当者必見】配管工事の重要な7つのポイントとは)もご覧いただけると良いかと思います。

⑦機械室や屋上においてメンテスペースは確保されているか

施工図を描くときは、やはり自分本位で描くことが多くなり、何とか機器や配管などが納まればOK!と思っている人が多々います。

ですが、建物は創って終わりではなく、使われてなんぼであるため、安全で使いやすい建物が発注者に喜ばれます。

従って、使用する方の気持ちになり、時にはその方へヒヤリングを行い、特に毎日点検等で歩く、機械室や屋上についてはメンテスペースをまず確保してから図面を描くことをおすすめします。

⑧流体を運ぶ配管が電気関係の室または盤上を通過していないか

電気は水などの流体を非常に嫌います。なぜならショートして、スパークして、最悪火災になる可能性があります。私は一度、工事中ですが、雨水が活きている盤にかかり、スパークしてブレーカーやケーブルが焼損したことがあります。工事中なので発見が早かったのでこれだけの被害で済みましたが・・・

これが竣工後で盤に水がかかった場合、発見が遅くなり火災となり、建物が消失してしまう可能性があります。

従って、流体を運ぶ配管は、電気関係の室を通さないようにすることと、盤の上を通さないことが不可欠です。もしどうしても通さなければならない場合は、盤上であればドレンパンを設置したり、電気室であれば二重天井や配管ピットなどを計画する必要がありますが、余計なコストになるため、基本は通さないように計画することが良いです。

⑨ダクトの用途・径が記載されているか

ダクトの用途とは、SA(Supply Air  サプライエアー)、EA(Exhaust Air イグゾーストエアー)、RA(Return Air リターンエアー)、OA(Outside Air アウトサイドエアー)の事を指します。

風の流れは目に見えないものですが、ダクトを使えば風の流れをコントロールすることができます。よって、これらの用途をきちんと図面に記載することによって、風の流れをコントロールするための材料として使用することができます。

またダクト径の記載も忘れずに行ってください。その径を見て、アスペクト比や拡大縮小のチェックを行うと良いです。

ちなみにアスペクト比や拡大縮小について少し詳しく説明した記事もありますので、興味があればこちら(【ゼネコン設備担当者必見】ダクト工事の重要な7つのポイントとは)もご覧いただけると良いかと思います。

従って、重要な風の流れをコントロールし、また風の品質を確保するためにも、ダクトの用途・径を施工図に記載することをおすすめします。

⑩バルブ・メーターの位置は、操作または点検のしやすい位置にあるか

先ほどの機械室や屋上の時と同様で、建物は創って終わりではなく、使われてなんぼであるため、安全で使いやすい建物が発注者に喜ばれます。

従って、使用する方の気持ちになり、時にはその方へヒヤリングを行い、特に操作や目視することが多い、バルブやメーターについてはメンテスペースをまず確保してから図面を描くことをおすすめします。

⑪点検口はメンテナス可能な位置・サイズを建築依頼したか

点検口については、バルブや機器の近くに必要です。特に機器については、メーカーの仕様書に点検口に大きさの指定があります。その大きさを守らないとメーカー保証が受けられない可能性もあります。

従って、点検口を付けるのは基本的に建築工事となりますので、メンテナンス可能な位置やサイズの点検口を建築に依頼することは非常に重要なポイントになります。

⑫工事中や更新時の機器の搬出入ルート・マシンハッチ・吊りフックは計画したか

先ほどの機械室や屋上の時と同様で、建物は創って終わりではなく、使われてなんぼであるため、安全で使いやすい建物が発注者に喜ばれます。

もちろん機器を搬入するためのルートや吊元を確保することも重要ですが、その機器を使用し、十数年後に更新する時のルートや吊元などの確保も重要です。

従って、更新時まで考慮した施工図を描くことは非常に重要なポイントとなります。

⑬機械設置場所の位置・重量を構造設計者に提示し承認をもらったか

設計図を作成するとき、構造設計者が機器の配置や重量を鑑みて、梁の位置やスラブの厚さなどを決定します。ただ施工フェーズになると、機器の重量が変わったり、配置が変わる事は多々あります。

この時忘れがちなのが、【構造設計者に確認すること】です。

設計図のフェーズで構造設計者が確認しているわけですから、配置や重量が変わったら、再度確認しなくてはいけないのはお分かりいただけるかと思います。

従って、施工フェーズで機器設置場所の位置・重量を構造設計者に提示し承認をもらうことは非常に重要なポイントになります。

⑭フレキ・防振・伸縮継手の仕様及び設置位置は計画されているか

フレキ・防振・伸縮継手の仕様について、ゼネコン社員が介入することは少ないのですが、確認をした方が私は良いと思います。

特に防振・伸縮継手は奥が深いので、ぜひ突っ込んで確認をして頂くと面白いと思います。

また設置位置についても、単純ではないので、これもまた突っ込んで確認をしていただくと面白いです。

そのような気持ちで仕様や設置位置を確認していただければ、品質も保てますし、自分の成長にもつながるかと思いますので、ぜひチェックをしていただけるとよいかと思います。

⑮ガラリの位置・サイズをチェックしたか

ガラリは建築工事であることがほとんどです。ガラリにダクトを接続するのは設備工事です。工事区分が分かれているため、不具合が起きやすいのがガラリの位置やサイズのチェックです。

一番いけないのは設備担当がノーチェックで、設計図通りのガラリの位置やサイズのまま、ガラリを製作し取り付けてしまうことです。

先ほども記載しましたが、設計図通り施工できることは稀です。変更があってその対応をし、随時設計仕様を変更しながら現場が進められます。

従って、建築工事とはいえど、設備担当が主役となって、ガラリの位置とサイズを決定しましょう。建築の施工図担当に働きかけ、【ガラリの図面のたたきが出来たら、すぐに私に回してください。チェックします!】などと言っておけば間違いないでしょう。

⑯機器に接続する配管は取り外しがし易いように、フランジで接続や取り外しスペースなどを考慮してあるか

先ほどの機械室や屋上の時と同様で、建物は創って終わりではなく、使われてなんぼであるため、安全で使いやすい建物が発注者に喜ばれます。

機器は設置して終わりではなく、使用・メンテナンスし、やがてはオーバーホール・更新などを実施します。例えばAHU(エアハンドリングユニット)を設置した場合、コイルの更新をする場合は、その前後の配管を外さないと更新ができません。

そうするとその前後の配管は、フランジで接続しておくと、取り外しが容易となります。またもっと言うと、フランジ以前の場所にバルブと水抜きがあると、非常に更新がしやすいです。そしてコイルの引き抜きスペースも確保しておかないと、配管は外れたけど、AHUからコイルを引きだすことができないといった事態になったら、もう大変です。

更新時は、竣工から数十年経過してから行うことが一般的であるため、その時には施工者に文句は言えません。だからと言って、適当でいいや、ではなく、きちんとその点まで考慮して施工図を記載すると、非常に気の利いた担当者となります。

余談ですが【気が利く】とは、生きていく上で、働く上で、非常に大事なスキルです。これらの気遣いをすると、その気が利くスキルは向上しますので、ぜひ熟練度を上げるためにも、これらを考慮することをおすすめします。

⑰機器発生音による影響をチェックしたか

空調機器は、空調機械室や屋外、屋上に設置されることが多いです。

空調機械室であれば、内壁にグラスウールを張り付けて、騒音を減衰させる対策を取ることがほとんどなので、よっぽど空調機の能力が変わらない限り危機発生音による影響はないと考えられます。(そもそもグラスウールを張らない設計であれば、隣室の影響の確認は必要)

ですが特に屋外に設置する場合は、機器発生音で敷地境界の基準値をオーバーしてしまうことは少なくないです。屋上も屋外よりかは危険度は小さいですが、可能性としては十分あります。

よって、施工図時点で騒音計算の実施と、機器稼働後の騒音値の測定は必須です。敷地境界での騒音値のオーバーは、騒音規制法という法律違反になりますので要注意です。

⑱防水層下にアンカー打設をする計画になっていないか

防水層エリアにインサートを打設することも極力避けるべきだと思っていますが、アンカー打設をすることは原則禁止です。なぜなら、躯体にドリルで穴をあけて、拡張式のアンカーを躯体に打ち付けるわけですから、躯体が傷みます。躯体が傷めば、ひび割れ等を引き起こし、防水層に悪影響を与えてしまう可能性が十分にあります。

また配管は流体が通るので、少なくても振動は発生します。その振動が躯体を伝わり、防水層に影響を与えることもあります。

従って、防水層下へはインサート打設は極力避け(それは難しいので実施するケースは大いにありだが・・・)、アンカー打設は行わない施工図となっているかチェックすることが重要なポイントとなります。

⑲総合図が承認されているか

設備施工をかじったことのある人であれば、総合図は施工図を作成するうえで、何よりも優先すべき図面ということは理解しているかと思います。総合図がないと、どこに何の設備を設置しなくてはならないかわからないため(いわゆるゴールがない状態)、施工図が描けません。

ですがこの総合図、かなりの労力を使います。なので、工事の初期のうちから計画を立て、【総合図をいつまでに承認するか】、社内・設計・発注者へと周知をしておくことをおすすめします。

目標を決めて、関係者に周知することで、【行動をしなくてはいけない状況を作る】のです。こうまですると、サブコン含めて我々も一生懸命目標達成に向けて動きます。

⑳建築図面が最新の状態か

平面詳細図や躯体図などが最新か確認するとともに、防火・防煙区画図が最新か確認する必要があります。

特に防火区画図を最新にすることは重要で、その防火区画ラインをきちんと施工図に反映させる必要があります。なぜならその防火区画ラインを貫通する配管については、区画処理が必要になります。区画処理ができていないと、建築基準法違反になってしまうため、施工図にその旨きちんと記載することが重要なポイントとなります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。実情をお話しすると、ゼネコン社員は施工図をサブコン任せにすることが多いです。

でもそれではダメです。冒頭でも記載した通り、施工図は現場で施工するための情報が記載された図面であることから、現場の出来に直結します。

上記で紹介した20個のポイントは抑えて頂き、あなたの経験の中で、肉付けして頂けると、さらにゼネコン設備担当として成長をしていけるのではないかと思います。

ここまでお読み頂き誠にありがとうございました。この記事の他にもゼネコンや設備担当、ゴルフ等に関する記事もありますので、併せてお読み頂けると幸いです。