若手ゼネコン設備担当が覚えておく施工知識

こんにちは!ハマカナです。

ゼネコン設備施工担当が施工知識を学ぶことによって、QCDSE全てのレベルアップを図ることができる、非常に効率の良い知識となります。

ちなみにQCDSEが知らない方のために簡単に説明します。

  • Q(Quality):品質
  • C(Cost):原価
  • D(Delively):工期
  • S(Safety):安全
  • E(Environment):環境

施工知識を知っていれば、もちろん品質不正を見逃さず、より良い品質の良いモノを作ることができます。また原価・工期についても、合理的な施工方法などを考えることができ、コストダウンや工期短縮を図ることができます。そして安全・環境については、施工知識があれば、事前にどのような事故が起こるか想像できるので、安全・環境による事故を未然に防止することができます。

青年A
とはいっても、施工関連の知識について覚えることが沢山あるので、どこから手を付けて良いかわからない。

ハマカナ
了解。それでは、若手が覚えておけば必ず役に立つ施工知識を解説をしていきます。

確かに、全ての施工知識を覚えることは、途方もない作業であるとともに、覚えてもあまり使用しない知識もあります。コスパならぬ、メモリーパフォーマンスが高い知識について解説しますので、まずはここから覚えてください。その後に覚える施工知識は、その現場ごとで必要なものを覚えて頂ければと思います。

若手ゼネコン設備担当が覚えておくべき施工知識とは

若手ゼネコン設備担当が覚えておく施工知識とは、下記でご紹介しますが、設備のみならず建築の知識も必要です。

理由としては、設備は建築で作るものの付属となるからです。建築でどう作るかをわかっておらず、最終的に出来上がったものに対し、設備を付けるということをすると、【やれ寸法が合わずに取り付けられない。寸法を合わせる為に、特注で作成し、お金を余計にかけてしまった。】ということになりかねません。

よって建築でどう作るか知っておいて、【建築で作る前に】ここをこうしてほしい等の要望をぶつける必要があります。

まずは建築関連で覚えておく内容を記載し、その後各設備での施工知識を記載したいと思います。

建築関連

工程の大まかな流れ


建築の工程がどのように進むかを把握する必要があります。工程が分からず、建築の躯体が出来上がってしまった後に、設備を取り付けようとすることは、非常に手戻りになりやすく、自分が苦労することになります。

自分が苦労するのは極力避けたいですよね。であれば、工程の大まかな流れを把握し、【いつ、何をやらなければならないのか】計画をしておきましょう。わからなければ、上司でもサブコンでも相談しましょう。まずは何事にも全体の把握が大事です。

躯体図の読み方


躯体図とは、主にコンクリートで創る床や壁、基礎の施工する為の図面(一般的に施工図と呼びます)となります。この躯体図を基に、配筋・型枠をし、コンクリートを流し込み、床や壁、基礎の躯体を創ります。

設備は躯体とどのような絡みがあるかというと、一番大きく絡むのは、スリーブという躯体に構造上問題のない穴をあけておくという工事です。詳細は次に記載しますが、躯体に穴があいていないと、設備の命である配管や配線を建物中に張り巡らすことができないのです。そうなっては、設備として機能しないということになります。

よって躯体図を読み、どこに穴をあけて、どのように配管や配線を通すか決める為にも、やはり躯体図は読めていないと、設備を出口のない迷路に迷い込ませるようなことをしてしまうことになります。

スリーブ入れの基準


先ほど記載した通り、躯体に構造上問題のない穴をあけておくことは、設備を機能させるためにも必須な工事となります。

穴をあけておかないと、どこぞやのマンションのように【コア抜きといって、躯体ができてから穴をあける工事】をしてしまい、構造上問題のある建物が出来上がります。そのマンションには入居予定者が多数いましたが、その問題が発生したことによって、入居予定を延期し、建物が出来上がった後に補修工事を実施する羽目になりました。

巨額な補償金と補修コストを掛ける事になっております。

そうならない為にも、事前にスリーブを入れておき、穴をあけておくことが大事ですが、スリーブを入れるのにも基準があります。どこもかしこも穴だらけになると、わかりますよね?いくら事前に穴をあけておいたからと言っても、構造上問題のある建物になります。

衛生設備関連

衛生設備とは、一般的に建物の設備における給水や汚水・雑排、ガス、消火設備の事を指します。家庭では、便所・お風呂・手洗い・キッチンなどで欠かせない設備です。衛生設備がきちんと整備されていない状況は・・・想像できませんよね。当たり前にあるものと思っていますが、生活必需の設備です。

配管吊ピッチ・吊り方法


配管の吊ピッチについては、すぐに使えて、現場でも指摘をしやすい内容になります。【この配管、3mピッチになっていませんね。測ってみましょう。】等の指摘ができます。

また吊り方法については、【振れ止め支持】と【耐震支持】を覚えておくとよいです。その覚えた指示通りになってなければ、カラーコーンのバーなどを使用し、吊っている配管を揺らしてみましょう。大きく揺れれば、【きちんと振れ止めもしくは耐震支持を取ってください】と指摘してあげましょう。

配管吊ピッチや吊り支持については、別記事「【必携!】ゼネコン設備担当におすすめな参考書10冊」でも紹介している、公共建築工事標準仕様書や建築設備耐震設計・施工指針がバイブルとなります。必ず手元に携帯しておくべきかと思います。

配管種


ゼネコン設備施工担当であれば、基本中の基本となるのが、配管種を覚える事です。

建物の隅々に水を届ける為に使用するのは配管です。エアコン等から温風・冷風を出すための冷媒を運ぶのも配管です。

我々はこの配管を、そのエリアの状況に合わせて、配管種毎に使い分けをする必要があります。具体的には、高温多湿のエリアであれば、湿気にも強い配管を選ぶ必要がありますし、地面の中に埋めるのであれば、曲げに強く腐食のしない配管を選ぶ必要があります。

これらの配管をうまく使い分けられないと、配管に穴があいたり、割れてしまったりと重大な不具合が起こってしまいます。

配管耐圧試験


ゼネコン設備施工担当の基本中の基本である配管を施工した後、その施工した配管の品質が問題ないかを確認する【耐圧試験】を覚える必要があります。

耐圧試験は簡単です。先ほどもご紹介した、公共建築工事標準仕様書に、必要な耐圧の値の記載があるからです。その値が出ているかどうか試験をすれば良いだけなので。

それより私は覚えて頂きたいと思うのは、【耐圧試験の計画】です。どの工程の段階で、どのエリアの配管を、どの場所で実施し、試験で使った水をどの場所に排水するかを覚えてほしいのです。

これは若手にとって非常に高難度の施工知識です。ただ、この計画ができれば、頭の中で配管を最初から最後まで施工するイメージが出来上がり、格段にレベルアップします。

私は常々思っているのは、全体を把握してから個別で取り組む(鳥の目で見て、蟻の目で見る)ことが世の中において効率的に物事を進める為の術だと思っています。その理論の基の内容になる為、ぜひ取り組んで頂くと幸いです。

漠然と取り組むのでなく、意識して取り組むようにすると、高難度であれど、何とか達成することができます。

空調設備関連

空調設備とは、一般的に建物の設備における空調(温度、湿度調整)、換気の事を指します。あなたが快適に室内に滞在できるのも、この空調設備が搭載されているからです。

ダクト吊ピッチ・吊り方法


これも衛生設備の配管と同様です。ダクトについては、ダクト種は少ないのですが、ダクトの大きさによって吊ピッチが変わります。

正直、厳密に大きさを測って、吊ピッチを算出し、現場で指摘することは少ないです。それより、実際に風を通してみて、ビビり音が出ないか確認し、もしビビり音が発生していれば、【振れ止めを追加し、もし吊り棒とダクトが干渉しているなら、間に緩衝材(ぺフ)を取り付けるなどの対策を実施します。】

ダクト種


ダクトの種類は、一般ダクトやスパイラルダクト、フレキシブルダクトや排煙ダクトに分かれると思われますが、実際もっと根本的なダクト種があります。

それは、低圧ダクト・高圧1ダクト・高圧2ダクトになります。正直若手の時は、ここまで知りませんでした。なぜなら、排煙ダクト以外ではほとんど低圧ダクトしか使わないからです。またこの3種を覚えると、ダクトの板厚も覚える必要が出てきます。

若手の時はここまでの知識は不要かと思います。一番最初の4つ程度を覚えておけば、取り急ぎ問題はないでしょう。

風量試験


風量測定を実施する際は、基本的には部屋内の風が吹き出るか所で、測定をする形となります。基本的には吹き出し口の面積と、風速から風量を測定する形となります。

ただ、大きな施設で大きな空調機(AHUと呼びます)が入る場合は、外気を取り入れる場所でも風量測定を実施します。上記写真の通り、ダクトに風量測定ができる棒を挿入できるように穴をあけてキャップをしています。(写真だとダクト下端についている2つ突起部分が該当)その部分で風量測定を実施し、大元の風量を把握した後、各室ごとの吹き出し口で風量測定を実施する形となります。

ポイントとしては、大元の風量については、多少余裕をもつことが鉄則です。建物が完成した時は、風はスムーズに流れますが、建物も数年経つと、汚れがたまり、風がスムーズに流れなくなります。これは建物を使用することにおいては絶対の原則です。

電気設備関連

電気設備とは、一般的に建物の設備を動かすための動力源の事を指します。正直、電気設備が無かれば、どの設備もただのガラクタになります。この電気設備があってこそすべての設備が当たり前に使えます。

配線吊ピッチ・吊り方法


通常配線は、ケーブルラックの上に乗せるのが一般的です。なぜなら後から配線を追加する時に便利だからです。ただ、ケーブルラックから小部屋へ分岐する時までは、ケーブルラックを施行する必要はなく、配線そのものを吊って部屋まで持っていけば良いのです。

ちなみに吊方法や耐震支持の方法は、その他の設備と同じように、公共建築工事標準仕様書や建築設備耐震設計・施工指針がバイブルとなります。

一つ注意して欲しいのですが、通例的に配線をまとめて縛ってよい本数は通常7本までとされています。根拠は、まとめて縛りすぎると配線に熱が帯びてしまい発火の可能性があるからです。ただ7本もかなり余裕を持った数値なので、もし指摘で【7本以上になっているから減らせ】と言われた場合、配線数に応じた発熱量を計算して論破するとよいです。一度は通例的にいってくる指摘に対し、根拠を持って返す事をすると、自分の成長につながります。

(配線を挿入する)配管種


配線を挿入する配管種は、それほど多くありません。地中で使用する波付硬質ポリエチレン管(通称エフレックス⇐商標)や、地上で使用するネジなし電線管(通称E管)と特に外で使用する厚鋼電線管(通称G管)の3つ位を覚えておけば当面は問題ありません。

ちなみに上記写真は、波付硬質ポリエチレン管となります。

電気各種試験


電気の各種試験は非常に大事です。何しろ電気は見えないものですから、試験をしないと、きちんと電気が通っているのかわかりません。しかも、電気が人体に流れると、人は致命傷を負うことになります。電気を当たり前に使えるように、安全に電気を流してあげ為にも、電気の各種試験は非常に大事なこととなります。

よってやるべき試験の種類を理解するとよいです。最初のうちは詳しい内容までは良いと思います。基準値通りに試験値が出ているか、その点を最低でも確認してもらえれば十分です。

まとめ

ゼネコン設備施工担当は、建築の知識も必要ですし、もちろん設備の知識も必要です。

非常に幅広い知識が必要になる為、まずはポイントを抑えることが重要です。

今回の記事が、あなたにとってそのポイントを抑える手助けになれば幸いです。

長い記事でしたが、ここまでお読みいただき誠にありがとうございました。