ゼネコン設備施工担当が覚えておく見積査定のコツ

こんにちは!ハマカナです。

ゼネコン設備施工担当は、若手の時から見積を徴収して、その見積を査定し、ネゴ交渉をします。そして業者の選定にも絡むこともあります。

これが建築施工担当になると、ここまでの事を実施するとなると、10年目以降でしか経験することはありません。

従って、設備施工担当は早いうちからコストに関わり、そのために必要となる見積に関しての知識は、若手の時から覚えておくと、非常に役に立ちます。

青年A
コストに関する知識って何が必要なの?

ハマカナ
コストに関しての知識は多くあるけど、一番効果の高いのは見積査定のコツですね。

コストに関しては、正直覚えることが多いです。

またコストについては、感覚的なところも多いので、経験が必要となります。

これくらいの建物を解体するとしたら、m2当たり○○円くらいかな、など解体する一連の工程を目のあたりにして、ようやくそのコスト感覚が身につくのです。

若手なので、その経験をするのは難しいのですが、早いうちから今回ご紹介する内容を覚えておけば、日ごろの現場での経験から意識するようになります。

それでは早いうちから覚えておくべき見積査定のコツについて、詳細の内容を下に記載します。

ここまでのポイント
〇ゼネコン設備施工担当は、若いうちからコストに関わることが多い。
〇コストに関する知識は多いが、見積査定のコツを覚えることは効果が高い。
〇見積査定のコツを覚えておくと、日ごろの現場での経験から意識するようになる。

ゼネコン設備施工担当が覚えておく見積査定のコツ

ゼネコン設備施工担当が覚えておく、見積査定のコツを記載いたします。

先ほども記載した通り、若手のうちから覚えておくと、現場での経験から意識するようになるため、特におすすめします。

中堅以上の方であれば、復習の意味でもご確認頂けると幸いです。

A材・B材は会社の経験から査定
工数は自分の経験から査定
諸経費は国交省仕様から査定

これらが見積査定のコツであると私は考えております。そしてその根拠も下に記載します。【なぜこれらが見積査定のコツであるのか?】と疑問に思われた方は、下記で詳細を記載しておりますので、よろしければご覧頂ければと思います。

A材・B材は会社の経験から査定

A材は、いわゆる【空調機器、キュービクル、衛生陶器】などの機器関係を指します。

B材は、いわゆる【ダクト、配線、配管】などのA材と副資材以外の材料のことを指します。

ちなみに副資材とは、世界大百科事典より下記のように言及されております。

副資材(製品化の工程に必要とされるが製品の一部にならないもの)

世界大百科事典内の【資材管理】内文章からの引用

これらを査定する時は、会社の【購買部隊】を利用します。

購買部隊は、資材の購入などを行う部隊であり、価格のネゴシエーションのスキルがあります。(一般的には・・・)

そういった価格のネゴシエーションで、資材の【定価に対する掛け率】のデータを保有しています。

一般的に定価で売買するメーカーはほとんどなく、通常掛け率を設定し、【定価×掛け率】で売買するのがほとんどです。

従って、業者から提出された見積書内のA材とB材については、掛け率のデータを持っている購買部隊に相談して、査定をしましょう。

ちなみに、メーカーから業者へ提出した【メーカー見積もり】は必ず入手すべきです。

【メーカー見積もり】とは定価を示しますので、いくら掛け率を知っていても定価を知らないと査定などできません。しかも業者は言わないとメーカー見積もりなど提出しませんので、必ず提出するように指示する必要があります。

ここまでのポイント
〇A材とは機器関係を指す。B材とはA材と副資材以外の材料を指す。
〇A材とB材の掛け率を購買部隊に確認する。
〇メーカー見積もりは必ず提出してもらう。

工数は自分の経験から査定

工数とは、大辞林に定義されているものを抜粋します。

ある作業を行うのに必要とされる延べ作業時間・仕事量。一般には人数と時間の積で表される。

大辞林第三版の【工数】内文章からの引用

例えば建築業界であれば、スパイラルダクト200φ(保温無し)を100m新規で吊る作業があった場合、その作業に必要な人数と日数を表すのに工数を使用します。

この場合、吊りボルトの仕込みで2人×3日、スパイラルダクトの吊り込みで2人×4日と考え、14人日と想定します。

ちなみに工数からコストを算出する場合は、ダクト作業員の単価を掛ければよいです。単価は、国土交通省発行の公共工事設計労務単価を使用するのがベーシックです。参考までに工数からコストまで算出します。

施工種別 工数(人・日) 単価(円/人・日) コスト(円)
スパイラルダクト 14日 21,200 296,800
国土交通省発行 公共工事設計労務単価より

工事費だけで約30万円ということが分かりました。先ほど算出した14人日は、経験がないと算出できません。

14人日が算出できないとコストも算出できないので、当然査定はできません。

従って、現場ではただ施工状況を見るのでなく、【その施工をするために、どのくらいの人が何日かけて実施しているか】確認する必要があります。おすすめは、自分で工程表を作成し、工程表通りに進められているか確認することが非常に効果があります。

ちなみに国土交通省より【公共建築工事標準単価積算基準】という資料があります。これを見ると工数を算出する事もできます。下図をご覧ください。

国土交通省発行 公共建築工事標準単価積算基準より

スパイラルダクトを施工する場合の各種情報が記載されています。その中に、ダクト工という列がありますが、これが工数を算出する際に使用する情報となります。

この表から工数を算出すると、0.174×100m≒18人となります。先ほどの人数(14人)と差異があることが分かります。

この差異が発生する理由としては、①こういった表は余裕率などが含まれる傾向にあり、高めに算出されてしまう。②比較的ボリュームの少ない施工に関しては実情とかけ離れる傾向にある。

②については、この表のような数値を出す際、ボリュームの少ない工事は特殊事情があることが多く(例えば、別現場と掛け持ちしていて正確な値を算出できない等)、統計上から軽視されてしまう可能性が高いからです。

従って、基本的には自分の経験から【その施工をするために、どのくらいの人が何日かけて実施しているか】算出し、工数を算出し査定することをおすすめします。

また現場によっては、既存の配管やケーブルラック等があり、ダクトを真っ直ぐ伸ばせず、曲がり部が多くなると、それだけ工数が掛かってしまいます。その点もあるので、やはり自分の経験がものをいうのがこの工数算出となります。

ここまでのポイント
〇建築業では工数とは、一般的に作業に必要な人数と日数を表す。
〇工数を算出するには、基本的に現場の経験が必要。
〇一般的な参考工数表を使用すると実情から離れる可能性がある。

諸経費は国交省仕様から査定

この章は単純です。

国土交通省から公共建築工事共通費積算基準に、各種経費のパーセンテージの記載があります。下記をご覧ください。

新築工事の場合のパーセンテージを抜粋しましたが、もちろん改修工事や、設備工事単体でのパーセンテージの記載もあります。

これらのパーセンテージを利用し、査定をすることが、根拠があり、なおかつスピーディーに終わるため、おすすめします。

ここまでのポイント
〇国土交通省発行資料に各種経費のパーセンテージの記載がある。
〇その資料は公共建築工事共通費積算基準である。
〇国土交通省発行なので明確な根拠となる。

まとめ

ゼネコン担当者が発注者になると、非常にメリットがあることは少しでもお分かり頂けたでしょうか。

ただ注意が必要なのが、これらでご紹介した資料は【国土交通省発行】の資料となります。

よって、民間工事では従う必要は特にありません。

国土交通省仕様で査定をして、それでもその査定に納得をしないようであれば、後は知識と経験のぶつかりあいです。

そこまで来たら会社を巻き込んで、徹底的に闘いましょう。

闘う際に、おそらく査定の根拠などが取りだたされると思いますが、上記で紹介した通り、きちんとした根拠があれば、あなたをやり玉にあげることはしません。ただし、なんとなく査定が一番危険なのでやめることをおすすめします。

あとは会社VS会社なので、流れに身を任せましょう。

ここまでお読み頂き誠にありがとうございました。この記事の他にもゼネコンや設備担当、ゴルフ等に関する記事もありますので、併せてお読み頂けると幸いです。