こんにちは!ハマカナです。
会社に入社している人であれば、なんとなくイメージが付くと思いますが、ゼネコン現場担当は転勤が非常に多いです。
上記会話のポイントとしては、ゼネコン業界の認識では、【転勤=現在担当地域から出る=引越し】と捉えられていることが多い事です。つまり、通常の考え方であれば現場を移動するだけで転勤と呼びますが、ゼネコンでは転勤とは呼ばないということが多いです。
なぜこのような解釈が発生するかというと、転勤について厳密に定められている法律がないのです。唯一あるとすれば、労働契約法の下記の条文かと思います。
第二章 労働契約の成立及び変更
(労働契約の成立)
第七条 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。
(労働契約の内容の変更)
第八条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。
e-Gov(イーガブ)労働契約法より引用
上記の通り、就業規則で労働条件を定めることができ、基本的にはそれに従うとの事です。つまりは、会社ごとに労働条件である【転勤】について定めることができるわけです。従って、会社ごとに解釈が違うことはうなづけるかと思います。
また就業規則はもちろん【会社で決める】ものとなります。当然会社が有利になるように設定されているかと思います。今会社で働いている方は、ぜひ就業規則を及びその細則も確認しましょう。
また労働契約法第八条には、労働者と使用者は、その合意により労働条件を変更することができるとの記載があります。これはどの場面で使用されるのか。良い面と悪い面があります。
- 良い面:【転勤の指示があった場合断ることができない】と労働条件にあったとしても、家族の介護の都合やその他相当な不利益を被る事情などがあれば、使用者と合意をして【転勤をしない】こともできるのです。過去裁判の判例でも転勤をしないという事例もありました。
- 悪い面:【転勤は原則しない】と労働条件にあったとしても、労働者が使用者にはたらきかけ、【転勤をさせる】ことができてしまうのです。私の周りでもいました。関東の専任職で入社した人が、東北に行ったり、九州に行ったりと転々をしていた悲惨な光景を見ました。緊急時だから仕方なく、で両者が合意したとの事です。はたから見ると、労働者はよっぽどのことがない限り、使用者には逆らえないと思いますので、ほぼ強制だなと思っていました。ちなみに専任職とは何かは下記で説明したいと思います。
以上のように多少の闇はありますが、転勤が多いと言われているゼネコンの実情について、解説をさせて頂ければと思います。特に【会社に入社したことのない学生など】は、よくこの事情を把握したうえでゼネコンへの就活をして頂くと良いかと思います。
転勤が多いゼネコン現場担当の実情を公開
私の周りの人も転勤は非常に多かったのですが、私は10年間で7回の転勤をしました。内訳は以下の通りです。
- 1回目:関東⇒中部
- 2回目:中部⇒中部
- 3回目:中部⇒東海
- 4回目:東海⇒中部
- 5回目:中部⇒東海
- 6回目:東海⇒関東
- 7回目:関東⇒関東
こんなに転勤が多い理由としては、大きく3つあります。
- 総合職
- 現場が終われば次の現場に行くルーティーン
- 会社は個人の希望を優先できない
詳細は下に記載させて頂ければと思います。ちなみに総合職でも、10年間ずっと転勤なしの人もいましたが、11年目には沖縄に転勤した人もいます。油断してはだめなのです。
総合職
ゼネコン現場担当で就活をするときには、大きく分けて【総合職】と【専任職】のどちらかを選ぶ必要があります。簡単に総合職と専任職の比較表を作りましたので、こちらをご覧ください。
担当エリア | 給与 | 賞与(ボーナス) | 昇進 | 地位 | |
---|---|---|---|---|---|
総合職 | 海外含む全国 | 高い | 高い | 限度なし | 高く見られがち |
専任職 | 希望したエリアのみ | 低い | 低い | 限度あり | 低く見られがち |
上記の通り、総合職社員は、【海外含む全国、どこでも大歓迎】という名目で雇用契約をしていることになります。よって【転勤が非常に多く】なります。
今思えば就活でゼネコンの最終面接を受けた時【転勤は多いけど問題ないよね?】と質問され、【もちろんです】と答えた経緯があります。あれで言質を取られ、転勤を断れないようになっているのでしょうか。ただ、もちろんです、以外の事は実際言えませんよね。
また、話は変わりますが、知りたい方もいらっしゃると思いますので、総合職と専任職の違いについて少し解説したいと思います。
結論を言うと、担当エリアさえどこでも良ければ(転勤上等)の人は、絶対に総合職にしましょう。絶対に転勤したくない人は、専任職にしましょう。(ただ上記でも書いた通り、専任職でも転勤の可能性はあります)
担当エリア
総合職は、海外を含む全国転勤があります。2年目ですぐに海外という人もいました。最近では大林組さんの過労死の問題もありましたが、海外は少し労働時間も青天井なところはあるかもしれません。
専任職は、希望した担当エリアから、基本出ることはありません(先ほど記載しましたが、使用者と労働者の合意があれば出ることはあります)。例えば、希望エリアが関東であれば、東京・千葉・埼玉・群馬・栃木辺りから出ることはありません。【広くない!?】ってつっこみを入れる方もいらっしゃるかと思いますが、これを狭いと捉える人もいるのでしょう。希望エリアの区分は会社によって定めがあるかと思いますが、これから説明することも良く念頭に入れて、専任職をご検討ください。
給与、賞与(ボーナス)
専任職は、総合職と比べ、びっくりするほど給与や賞与が低いです。私は絶句しました。下手したら同じ仕事をしていても、総合職の3~4割カットが専任職の給与かと思います。
同期でも、専任職でも有能な人が、総合職で無能な人に、給与・賞与が劣っているのです。正直専任職はやるせないですよね。
昇進
総合職は、昇進テーブルのトップまで上り詰めることができます。
専任職は、専任職用の昇進テーブルがありますが、総合職の昇進テーブルと比べると、はるかに劣っております。総合職は、レベル99まで上がれるのに対し、専任職はレベル70で限界が来てしまうイメージです。
地位
これはあまり申し上げづらいのですが、就活の時に総合職で受けて不合格だった人が、なんとかその会社に入りたくて専任職で再度受けて合格して入社するケースがあります。
そのような人について、周りはどう見ると思いますか。皆様も少し能力が足りないのでは、と思ってしまいませんか。たかが面接で人が人を見ているだけなので、不合格になった人は能力が低いとは私は思いません。ですが、総合職はエリート、専任職は落ちこぼれとみる人はいます。実際はそんなことはないのですが。
現場が終われば次の現場に行くルーティーン
現場が竣工してしまえば、基本的にはその現場でやることはなくなるので、次の現場に移ることがルーティーンとなります。
余程大きな現場であれば、アフターフォロー部隊としてその現場に残ることはありますが、そうそうないと考えてよいです。
では、次の現場はどうやって決めると思いますか?若年社員であれば基本的に、今所属している支店で受け持っているエリアの中で、もうすでに現場が始まっていて、かつ人が足りないところとなります。
上記のように条件がかなりあるので、今の現場から近い場所に次の現場があることは稀です。
従って、【転勤が多くなる】ことに繋がります。
ちなみに上で記載した、【今所属している支店で受け持っているエリア】とは、例えばある会社で関東支店があったとすると、関東支店が受け持っているエリアとは、だいだい東京・千葉・埼玉・群馬・栃木・山梨を指すことが多いかと思います。(もちろん会社によって違いますが)
ある程度同じ支店で経験したものは、別の支店に異動することもありますが、基本は同じ支店内での現場をうろうろすることになります。
会社は個人の希望を優先できない
結構衝撃的かと思いますが、実際はそうなのです。
個人の希望を優先させてばっかりいたら、会社として成り立ちません。
例えば、ゼネコン現場担当で働いている人が、全員東京で働きたいと希望を出したとします。希望をかなえようとすると、それでは大阪や名古屋などの東京以外のところでは仕事は受注しません、ということになります。会社として成り立たないですよね。
また半分は希望をかなえますと言っても、誰の希望をかなえて、誰の希望のかなえないか、どういった基準で選ぼうか、など考えることが多くて、その考える事だけでも、人件費などが高騰し、これも会社として大きな損失となります。
以上の結論として、会社は個人の希望を優先できないのです。よって会社の都合で、【転勤を余儀なくされる】ことになります。
まとめ
ゼネコン現場担当が転勤が多い理由について、うまく解説できたでしょうか。
実際も、転勤は非常に多いです。自分は転勤は問題ないと思っている方もいらっしゃるかと思いますが、自分の家族や親などはそう思っているでしょうか。年齢が上がってきて、親の介護などは必要ないでしょうか。
転勤が多いことについて、少し視野を広げて、本当に自分にとって問題無い事か考えてみてはいかがでしょうか。
長い記事でしたが、ここまでお読み頂き誠にありがとうございました。このほかにも、ゼネコンや設備施工、ゴルフに関する記事もございますので、ぜひご覧いただけると幸いです。