【新築マンション編】工事着工までのゼネコン担当の業務を徹底解説

こんにちは!ハマカナです。

ゼネコンや設備施工の位置付け等はなんとなくイメージが出来ましたでしょうか。

次は設備施工社員が実際にどんな仕事をしているか、各フェーズに分けてご紹介していきたいと思います。

まずは建物が建設されるフローを紹介し、その後各フェーズ毎に細かく説明させて頂ければと思います。

どんなことでも、まずは全体の把握から!

なお建設フローは一般的な事項を記載しておりますので、建物によってはこのフローでは進まないこともあります。

建物とは一品生産なので、1つとして同じ工程はないことをご理解ください。

工事フロー全体の紹介

建物が建設されるフローを見ていきましょう。(設計図書は完成しているものとします。)

今回サンプルとして紹介する建物は

建物概要(サンプル)

  • 新築
  • 建物用途:マンション
  • 構造:RC(鉄筋コンクリート)
  • 階数:地上10階 地下1階
  • 最高高さ:40m
  • 建築面積:500m2
  • 延床面積:6,000m2
  • 請負金額:10億

工事フロー全体

 工事着工前準備

  1. 仮囲い設置(建物敷地境界に立てる壁みたいなもの)
  2. 仮設事務所設置・備品搬入
  3. 各種着工前申請書類作成・提出
  4. 工事用 水道申し込み・配管敷設
  5. 工事用 下水道申し込み・配管敷設
  6. 工事用 電気申し込み・配線敷設
  7. 工事用 電話申し込み・配線敷設
  8. 工事用 インターネット申し込み・配線敷設
  9. 地鎮祭

 工事着工

  1. 山留杭工事
  2. 場所打ち杭工事
  3. 一次掘削
  4. 腹起し・切梁組み立て
  5. 二次掘削
  6. 捨てCON
  7. 基礎・地中梁・耐圧版配筋、コンクリート打設
  8. 足場架設・壁配筋・コンクリート打設
  9. 腹起し・切梁解体
  10. 外構工事(先行)
  11. 足場架設・1階床、立ち上がり配筋、コンクリート打設
  12. 足場架設・2~10階床、立ち上がり配筋、コンクリート打設
  13. 屋上配筋・コンクリート打設
  14. 外装工事
  15. 屋上防水
  16. 1~10階内装工事(⑫頃から並行してスタート)
  17. 1~10階設備工事(⑫頃から並行してスタート)
  18. 足場解体
  19. 外構工事
  20. クリーニング
  21. 検査
  22. 引き渡し
マンション工事で特徴的な工法等
サイクル工程:
各階はほとんど同じ形なので工事のルーティーンを決める。そのルーティーンを詰めて考えることがマンション工事の肝。
ユニット化:
設備関係の配線や配管をユニット化(工場である程度組み立てる)し、現場の省力化をすること。各階ほとんど同じ形だからメリットがある。

仮囲い設置

■作業の目的:

工事現場と外部を明確に区切るために設置する。また通行人の安全、隣接物などのために設置します。

■作業の内容:

基本的には境界線沿いに、1.8m以上の板塀、あるいはそれに類する仮囲いを設置します。(仮囲いの高さ等については、建築基準法施行令第136条の2の20に規定あり。)仮囲いと同時に、車両が通るゲートと、人が通る通用口の扉も設置する。

建築基準法施行令

第百三十六条の二の二十 木造の建築物で高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メートルを超えるもの又は木造以外の建築物で二以上の階数を有するものについて、建築、修繕、模様替又は除却のための工事(以下この章において「建築工事等」という。)を行う場合においては、工事期間中工事現場の周囲にその地盤面(その地盤面が工事現場の周辺の地盤面より低い場合においては、工事現場の周辺の地盤面)からの高さが一・八メートル以上の板塀その他これに類する仮囲いを設けなければならない。ただし、これらと同等以上の効力を有する他の囲いがある場合又は工事現場の周辺若しくは工事の状況により危害防止上支障がない場合においては、この限りでない。(根切り工事、山留め工事等を行う場合の危害の防止)
e-Gov(イーガブ)より引用

■建築施工社員の役割:

メインで施工管理をします。主に鳶工と協力して仮囲いを設置します。

■設備施工社員の役割:

サブとなります。基本的には建築施工社員が管理するのですが、設備施工社員が実施することもあります。仮囲いを固定する為に地面に単管という鋼管を打ち込みますが、設備施工社員はその地中に配管・配線等の設備系埋設物が無いか調べて、問題無い事を確認します。

■諸注意事項:

  1. 仮囲い下に公共のマンホールがある場合、仮囲いパネルをクランクさせていつでもマンホールが開けれる状態にする。
  2. 仮囲いの高さは、外部への騒音を低減する為、3.0mにすることがある。
  3. 仮囲いの高さは、法令で決められているので抵触しないように十分注意すること。(仮囲いパネルのレンタル業者は、その法令について詳しいので基本的に抵触することはないと思われるが、念のため。)

仮設事務所設置・備品搬入

■作業の目的:

専門工事業者の休憩所やゼネコン社員の事務所として使用する為に設置する。仮設事務所は建物であるが、建築するのに確認申請には該当しない。建築基準法第85条第2項に記載あり。

建築基準法

第八十五条 
2 災害があつた場合において建築する停車場、官公署その他これらに類する公益上必要な用途に供する応急仮設建築物又は工事を施工するために現場に設ける事務所、下小屋、材料置場その他これらに類する仮設建築物については、第六条から第七条の六まで、第十二条第一項から第四項まで、第十五条、第十八条(第二十五項を除く。)、第十九条、第二十一条から第二十三条まで、第二十六条、第三十一条、第三十三条、第三十四条第二項、第三十五条、第三十六条(第十九条、第二十一条、第二十六条、第三十一条、第三十三条、第三十四条第二項及び第三十五条に係る部分に限る。)、第三十七条、第三十九条及び第四十条の規定並びに第三章の規定は、適用しない。ただし、防火地域又は準防火地域内にある延べ面積が五十平方メートルを超えるものについては、第六十三条の規定の適用があるものとする。
e-Gov(イーガブ)より引用

■作業の内容:

仮設コンテナハウスをレンタル業者から借りて、主にクローラークレーンを使用して組み立てる。組み立て終わったら、机や椅子、ロッカーや冷蔵庫等の備品を搬入する。

■建築施工社員の役割:

メインで施工管理をします。主にレンタル業者と協力して仮設事務所・備品を設置します。

■設備施工社員の役割:

サブとなります。基本的には建築施工社員が管理するのですが、設備施工社員が実施することもあります。仮設事務所にはトイレや流し台がありますので、そのための給水と排水を用意してあげる必要があります。給水はこれから紹介する、工事用水道を引き込みその水道から配管を伸ばして接続します。排水は、既存の排水設備があるならそこに接続しても良いですし、なければ工事用の下水道を引き込みそこから配管を伸ばして接続します。

■諸注意事項:

  1. 仮設事務所は、状況により風で転倒しないように控えを取るようにします。
  2. 仮設事務所は誰がどれだけ入るか、まずはレイアウトを決めます。仮設事務所は1か月あたりのレンタル料金もかなりかかるので、合理的なレイアウトを決める必要があります。

おさらい

仮囲いの高さは、建築基準法で何m以上と規定されていますか?

①3.0m以上

②2.0m以上

③1.8m以上

④1.6m以上

答えはこちら

仮設事務所は、建築物なので確認申請が必要か?

①必要

②不要

答えはこちら

各種着工前申請書類作成・提出

■作業の目的:

工事着工前に諸官庁への届出が必要な作業を洗いだし、遅滞なく書類の作成及び提出を行う。届出が必要な作業であるのに、届出を行わないで作業することは基本的にコンプライアンス違反になります。

■作業の内容(詳細は別途記載):

特定建設作業届出・・・作業実施の7日前

土地の形質変更に係る届出・・・形質変更工事の30日前

88条申請(足場・型枠支保工)・・・足場架設の30日前

建設工事計画届・・・工事開始の14日前

クレーン設置届・・・クレーン設置の30日前

工事中の消防計画(今回のケースでは対象にならないが、名古屋等で時々新築面積に関わらず届出を指導される時がある。)・・・工事開始の10日前

■建築施工社員の役割:

メインで申請書類の作成・提出をします。所長や社内担当部署と調整をして作成・提出をします。

■設備施工社員の役割:

サブとなります。基本的に関わることはほとんどないと思います。

■諸注意事項:

  1. 上記作業の内容や届出日は、所管行政によって変わることがあるので、あくまで参考程度でご確認ください。
  2. 届出が遅れると、工事工程に大きく影響を与えます。特に工事着工30日前は相当なインパクトあり。
  3. 申請に関しては、本記事で一般的なことを記載しますが、必ず工事を実施する場所の所管行政に確認が必要です。また、各省庁が法で定めたものを、行政が条例で厳しく制定していることがあります。一例ですが下記を参考にして頂ければと思います。
    一例:特定建設作業について 騒音・振動規制法と条例の規定の違い(富津市HP)

特定建設作業届出

■届出概要・対象:

特定建設に該当する作業(主に騒音や振動を発生させる作業)をする場合、その作業の7日前に届出が必要。

■届出先諸官庁:

市役所(担当部署は地域によって異なる)

■該当法令・条文:

騒音規制法第4条、振動規制法第4条、各行政の条例

■諸注意事項:

  1. 特定建設作業は基本的に工事毎に届出をすることになるので、提出し忘れはほぼないかと思われます。
  2. 特定建設作業は、近隣から「あの工事うるさいんだけど」等と言われたときに、多少の威力を発揮すると思われるので、必ず提出しましょう。そもそもうるさいといわれないように、近隣に配慮することは重要です。
  3. 騒音規制法や振動規制法の規定値を下回っている場合でも、市の条例等でその規定値を下げて設定していることがあるので、必ず条例の規定を確認しましょう。

土地の形質変更に係る届出

■届出概要・対象:

3000m2以上の土地を形質変更をしようとする場合、その作業の30日前に届出が必要。

■届出先諸官庁:

県もしくは市役所(担当部署は地域によって異なる)

■該当法令・条文:

土壌汚染対策法第4条、各行政の条例

■諸注意事項:

  1. 届出に関して、私は一度忘れかけたことがあります。皆様は十分ご注意ください。
  2. 土壌汚染があった場合、よっぽどのことがない限り、その処分費用は別途費用であることが多いです。きちんと見積を提出してから、処理するようにしましょう。
  3. 土壌汚染は、近くに井戸がある場合、かなりシビアに扱わなければいけない案件になります。慎重に発注者と打ち合わせをしましょう。

88条申請(足場・型枠支保工)

■届出概要・対象:

足場⇒つり足場、張出し足場は高さに関係なく、それ以外の足場あっては高さが10m以上の構造の足場を架設する場合、その工事の30日前に届出が必要。ただし、足場組立開始から解体完了日までの期間が60日未満のものは届出が不要

型枠支保工⇒支柱の高さが3.5m以上の型枠支保工を架設する場合は、その工事の30日前に届出が必要。

■届出先諸官庁:

労働基準監督署

■該当法令・条文:

労働安全衛生法88条第2項

■諸注意事項:

  1. ゼネコン社員であれば、ある程度の規模の建物に携わることになるので、ほぼ確実に提出する癖がついていると思ってよいと思います。従って届出忘れはほとんどないと思われます。

建設工事計画届

■届出概要・対象:

高さ31mを超える建築物を建設する場合、または掘削の高さ・深さが10m以上である地山の掘削工事を行う場合、その作業の14日前に届出が必要。

■届出先諸官庁:

労働基準監督署

■該当法令・条文:

労働安全衛生法88条第2項

■諸注意事項:

  1. ゼネコン社員であれば、ある程度の規模の建物に携わることになるので、ほぼ確実に提出する癖がついていると思ってよいと思います。従って届出忘れはほとんどないと思われます。

クレーン設置届出

■届出概要・対象:

つり上げ荷重が3トン以上のクレーンを設置する者は、その設置の30日前に届出が必要。

■届出先諸官庁:

労働基準監督署

■該当法令・条文:

労働安全衛生法88条第1項、第2項

■諸注意事項:

  1.  つり上げ荷重0.5~3トン未満のクレーンを設置する者は、クレーン設置報告書を提出する必要があります。

工事中の消防計画

■届出概要・対象:

工事を完了させるまでの間、防火管理を確立させることを目的として、工事中の消防計画を作成し届出する。消防計画の下打ち合わせが必要なので、東京都では工事の10日前まで届出をするようにしているとのこと。

■届出先諸官庁:

消防署

■該当法令・条文:

消防法施行規則第3条第1項、防火管理の指導に関する要綱第40条、第43条

■諸注意事項:

  1.  東京都では、電気工事等の工事中のもののうち収容人員(工事作業員)が50人以上で、「地階を除く階数が11以上で、かつ、延床面積が10,000m2以上」「延床面積が50,000m2以上」「地階の床面積の合計が5,000m2以上」の規模以上の建築物であると、届出が必要。
  2. 上記に該当しない新築工事でも、地階の階数が4以上、または、地階を除く階数が11以上で延床面積が3,000m2以上の建築物は届出が必要。
  3. その他、所管消防署が必要と認めた場合、届出をするように指導されることがあります。私は名古屋市で指導されたことがあります。

おさらい

特定建設作業届出は、騒音規制法や振動規制法の規定値を下回っている作業であれば届出は不要か?

①不要

②必要

答えはこちら

土地の形質変更に係わる届出は、何m2の土地を形質変更する場合に届出が必要になるか?

①1000m2

②2000m2

③3000m2

④4000m2

答えはこちら

88条申請(足場・型枠支保工)は工事の何日前までに届出が必要か?

①7日前

②14日前

③30日前

④60日前

答えはこちら

建設工事計画届は工事の何日前までに届出が必要か?

①7日前

②14日前

③30日前

④60日前

答えはこちら

クレーン設置届出のお届出先はどこか?

①市役所

②労働基準監督署

③消防署

④県

答えはこちら

工事中の消防計画は提出要件に該当しなければ届出は不要か?

①不要

②場合によって必要

答えはこちら

工事用 水道申し込み・配管敷設

■作業の目的:

工事着工前市役所(水道局…行政によって名称は異なる)へ水道引き込みの申請、引き込み工事を行い、工事用で水道が使用できることにすることが目的。建物が建設された後住人が使用する本設の水道を前もって引き込んでおき、その本設の水道を工事用の水道として使用することが多い。

■作業の内容:

基本的にサブコンや指定工事店と呼ばれる工事業者と一緒に行動します。まずは水道の引き込みをする為の申請を市役所に提出します。そして申請が受理されたら、申請費を納め、実際に引き込み工事を実施する日程の調整をし、実際に工事を実施します。ここまでで約2〜3週間程度掛かると思われます。

申請を提出する時に、水道の引き込み配管のサイズが必要となりますが、求め方は簡単です。本設で使用する水道の使用量を求めます。(たいてい設計図書に記載あり)そしてそれを仮設として利用するので、工事で使用する水道の使用量を求めて(これはちょっと経験が必要。不明であればサブコンや指定工事店の力を借りることをお勧めします。ここで詳細をかかない理由は工事によってポイントが違うことがあるので混乱しないように配慮)、配管のサイズを決定します。

申請に関しては、本設の引き込みの申請と工事用で使用する為の申請と2本になるはずです。

■建築施工社員の役割:

サブとなります。ただし、建築工事で水が必要になるので、水道がどの位置に欲しいかなど声をかけてあげる必要があります

■設備施工社員の役割:

メインで申請・管理をします。自らもしくはサブコンや指定工事店と協力して申請・配管敷設をします。

■諸注意事項:

  1. 申請費はサイズによって金額が変わり、1サイズアップでも何十万単位で変わります。従って、本設のサイズで、工事用の水道を使ってしまうとかなり余計なコストがかかる為、サイズダウンをしてメーターをつけることが合理的です。
  2. 申請業務とは、自分で時間を短縮できない作業となる為(行政の承認期間などが必要な為)、早めに段取りして、遅れないように十分注意しましょう。

工事用 下水道申し込み・配管敷設

■作業の目的:

工事着工前に市役所(下水道局…行政によって名称は異なる)へ下水道引き込みの申請、引き込み工事を行い、工事用で排水ができるようにすることが目的。建物が建設された後住人が使用する本設の下水道を前もって引き込んでおき、その本設の下水道を工事用の下水道として使用することが多い。

■作業の内容:

基本的にサブコンや指定工事店と呼ばれる工事業者と一緒に行動します。まずは下水道の引き込みをする為の申請を市役所に提出します。そして申請が受理されたら、申請費を納め、実際に引き込み工事を実施する日程の調整をし、実際に工事を実施します。ここまでで約2〜3週間程度掛かると思われます。

申請を提出する時に、下水道の引き込み配管のサイズが必要となりますが、求め方は簡単です。本設で使用する下水道の使用量を求めます。(たいてい設計図書に記載あり)下水道は水道のように工事中の排水量を求める必要はないかと思われます。工事用として使用しようとし、サイズダウンしても申請費は変わらない為。

■建築施工社員の役割:

サブとなります。ただし、建築工事で排水が必要になるので、下水道がどの位置に欲しいかなど声をかけてあげる必要があります。

■設備施工社員の役割:

メインで申請・管理をします。自らもしくはサブコンや指定工事店と協力して申請・配管敷設をします。

■諸注意事項

  1. 排水はもともと敷地内に引き込まれている事が多数なので、サイズが適合するなら、既存を利用することが良いです。
  2. 排水の既得権を利用し、申請費を安くできることがあります。その地域の市役所をよく知っている指定工事店などに相談してみると、思わぬコスト削減ができるかもしれません。

工事用 電気申し込み・配線敷設

■作業の目的:

工事着工前に電気事業者(東京電力や中部電力など)へ電気使用の申請、引き込み工事を行い、工事用で電気を使用できるようにすることが目的。水道や下水道とは異なり、あくまでも工事用の仮設として申請、引き込み工事を行う。

■作業の内容:

基本的に自らもしくは仮設電気業者と一緒に行動します。まずは電気を使用する為の申請を電気事業者に提出します。そして申請が受理されたら、申請費を納め、実際に引き込み工事を実施する日程の調整をし、実際に工事を実施します。ここまでで約2〜3週間程度掛かると思われます。

申請を提出する時に、電気の使用量の算出が必要となりますが、これはかなり大変です。全体の工程表を見て、どの時期にどの電気工具をどれくらい使うかなどを想定しなくてはなりません。また、タワークレーンを使用するのであればそれ用の使用量も加味する必要があります。これは正直経験がないとわからないことです。最初のうちは仮設電気業者にお願いをしても良いと思いますが、いずれは自分で出来るようになると良いと思います。

■建築施工社員の役割:

サブとなります。ただし、建築工事で電気が必要になるので、電気がどの位置に欲しいかなど声をかけてあげる必要があります。工事序盤はほとんど建築で使用するものなので、明確に要望を聞いておきましょう。

■設備施工社員の役割:

メインで申請・管理をします。自らもしくは仮設電気業者と協力して申請・配線敷設をします。

■諸注意事項

  1. 工事用の電気使用量については、多少なりとも余裕を見て算出しましょう。万が一電気供給量が足りなくなって、ブレーカーが頻繁に飛ぶことになったら、もう工事どころじゃない状況になりますから!
  2. 仮設電気申請費については、仮設電気業者と契約する時に、見積内に含んでもらうようにした方が良いかと思います。突然の出費というものは、現場ではあまり好まれません。「これだけお金が掛かっちゃったので、お金ください」では皆様も怒りますよね?
  3. 余談ですが、工事現場廻りにある工事搬入上支障が出そうな電柱については、移動させることが可能です。「えっ!?動かせるの?かなりコストが掛かるのでは」とお思いかもしれませんが、結論として私の経験上、数十万で動かすことが可能です。ただし、動かす為の問い合わせ先は、電気事業者ではなく、土木事務所となります。よく電柱を見て頂くと書いてあります。そこに電話をして、打ち合わせをして、進めてください。問い合わせをして動かすまで、約1ヵ月程掛かると思ってください。

工事用 電話申し込み・配線敷設

■作業の目的:

工事着工前に電話業者(NTT等)へ電話使用の申請、引き込み工事を行い、工事用で電話を使用できるようにすることが目的。水道や下水道とは異なり、あくまでも工事用の仮設として申請、引き込み工事を行う。

■作業の内容:

ここで初めて登場しますが、事務系社員が基本的に実施します。電話業者に申込を行い、契約プランを決めて、契約をします。その後実際に引き込みの工事を実施します。ここまでで約2〜3週間程度掛かると思われます。

■建築施工社員の役割:

サブとなります。基本何もしません。

■設備施工社員の役割:

サブとなります。電話線の引き込み工事の時に、どのルートを通して、仮設事務所まで配線を持っていけばよいかアドバイスはしてあげてください。事務系社員では、ルートまで責任を持つことができませんので。

■諸注意事項

  1. 基本は、事務系社員が実施します。配線工事の際には、サポートしてあげてください。

工事用 インターネット申し込み・配線敷設

■作業の目的:

工事着工前に通信業者(NTT等)へインターネット使用の申請、引き込み工事を行い、工事用でインターネットを使用できるようにすることが目的。水道や下水道とは異なり、あくまでも工事用の仮設として申請、引き込み工事を行う。

■作業の内容:

こちらも、事務系社員が基本的に実施します。通信業者に申込を行い、契約プランを決めて、契約をします。その後実際に引き込みの工事を実施します。ここまでで約2〜3週間程度掛かると思われます。

■建築施工社員の役割:

サブとなります。基本何もしません。

■設備施工社員の役割:

サブとなります。通信線の引き込み工事の時に、どのルートを通して、仮設事務所まで配線を持っていけばよいかアドバイスはしてあげてください。事務系社員では、ルートまで責任を持つことができませんので。

■諸注意事項

  1. 基本は、事務系社員が実施します。配線工事の際には、サポートをしてあげてください。
  2. インターネットについては、会社独自のイントラネットがあるはずです。一度事務系社員にどのような仕組みなのか、勉強のために聴いておくのも良いかと思います。

地鎮祭(=安全祈願祭とも言います)

■地鎮祭の目的:

建物を建設する際の、神様に工事の無事や安全と建物の繁栄を目的として、地鎮祭を行います。建物を建てる土地の氏神様の神主をお招きして執り行います。

■作業の内容:

こちらも、事務系社員が基本的に実施します。地鎮祭は事務系社員の大きなイベントでもあります。発注者と参加者と日程を調整したり、社内でも同様の事を実施します。そして神主とのコンタクトを取り、式の段取りを決めます。現場には、式場を設置する段取りをして、実際に設置まで管理をし、地盤が悪く足取りがおぼつくようであれば、建築施工社員に頼み、地盤を均してもらいます。そして当日は司会進行など滞りなく完了させられるように、てきぱき動きます。気が抜けません。

比較的大きな現場になると、発注者も社内も「代表取締役社長」が登場します。比較的規模の小さい現場でも、専務・部長は登場しますので、これだけ聞いても事務系社員の大きなイベントということはご理解頂けるかと思います。

■建築施工社員の役割:

サブとなります。事務系社員のサポートをします。

■設備施工社員の役割:

サブとなります。事務系社員のサポートをします。

■諸注意事項

  1. 基本は、事務系社員が実施します。サポートをしてあげてください。
  2. 地鎮祭の詳細な内容については、こちら「地鎮祭のしかた-便利わかりやすい」をご確認して頂けると分かりやすいかと思います。

おさらい

工事用水道は引き込むサイズによって申請費は変わるか?

①変わる

②変わらない

答えはこちら

工事用下水道は本設の下水道を工事用の下水道として使用するか?

①する

②しない

答えはこちら

工事用電気は本設の電気を工事用の電気として使用するか?

①する

②しない

答えはこちら

工事用電話の申し込みはメインで担当するのは誰か?

①所長

②建築施工社員

③設備施工社員

④事務系社員

答えはこちら

工事用のインターネット配線を引き込む時、誰にアドバイスをもらうと良いか?

①所長

②建築施工社員

③設備施工社員

④事務系社員

答えはこちら

地鎮祭を行う時は、基本現場の人間だけで執り行うか?

①執り行わない

②執り行う

答えはこちら

番外編:VE案(衛生設備)

給水配管の管種変更(VLP-VA,VB⇒ポリエチレン配管)

■VE内容:

給水配管の管種を変更する。一般的に給水配管は、VLP-VAやVBが設計時点で採用されることが多いのですが、それをポリエチレン配管に変更します。

■メリット:

①重さがポリエチレン配管の方が圧倒的に軽いので施工性が向上する。⇒工期短縮、安全性向上

②地域やメーカーによっては、配管に保温が不要になる。⇒コストダウン、工期短縮

③メーカーによっては、接続部が電気融着(一体化する)となるので、接続部がウィークポイントにならない。

■デメリット:

①圧力試験を実施する時、値が定まらないことがある。

■諸注意事項:

  1. 私が使用したメーカーはセキスイさんの「エスロンハイパー」となります。セキスイさんはとてもお世話になっていたメーカーでした。何かVE案を考える時は、セキスイさんのようなメーカーのHPなどを見て、「新商品がないか」よく探していました。ただし、新商品などを使用する場合は、実績がないことが多いので、その点よく会社とも相談して採用するか決めてもらえればと思います。

番外編:VE案(空調設備)

住戸エアコンメーカー変更

■VE内容:

住戸に設置するエアコンのメーカーを変更する。いくつかのメーカーに声をかけて見積をもらって検討する。

■メリット:

①住戸が多い場合、設置台数が多いので比較的ボリュームディスカウントしやすい。⇒コストダウン

■デメリット:

②能力・仕様に関しては、メーカー独自の機能があったりするので、完全に同じ能力・仕様のものを探すのが難しい。(比較が難しい)

■諸注意事項:

  1. 比較的容易にVEできる内容かと思います。発注者によっては、「機能はあまりいらない。基本的に冷暖房が出来れば良い」と思っていただけているのであれば、なおさらVEしやすい(この場合CDになるが)内容です。
  2. メーカーを変更すると、エアコンの大きさが微妙に異なりますので、設置予定場所にきちんと取り付けることができるか確認する必要があります。
  3. メーカー変更については、エアコンだけでなく、そのほかの設備についても適用できるVEかと思いますので、応用して提案していただければと思います。

番外編:VE案(電気設備)

キュービクル屋上設置⇒地下設置

■VE内容:

電気の心臓部であるキュービクルを屋上設置から地下設置に変更する。

■メリット:

①電気の引込ケーブルの距離を短くできる。⇒コストダウン、工期短縮、安全性向上(太くて重い配線を屋上まで引っ張らなくて済む)

②躯体が完成する前に、地下にキュービクルを設置できるため、各機器の試運転調整が前倒しで実施できる。⇒工期短縮

■デメリット:

①大雨で万が一地下が浸水した場合、停電となる。最悪の場合キュービクルが全損。

②そもそも設置するスペースがあるか検討が必要。

■諸注意事項:

  1. 私は全体工程を見返したとき、設備工程が足りなくなると予想しました。今思えばこのVE案を実施しなければ、工期は確実に遅れて、莫大な違約金を支払うことになっていたと思うとぞっとします。VE案を採用してもらうためには「それなりの理由」が必要となります。また「デメリットについてどう解消するか」も提案する必要があります。今回挙げたデメリットの「浸水」に関しては、建築社員と綿密に調整して、防水計画を立て浸水の恐れを極力減らすようにして、浸水の懸念を少しでも緩和することをしました。

番外編:VE案(昇降機工事)

各所仕様変更

■VE内容:

昇降機(エレベータ)の各所仕様変更の提案をする。このVE案は、基本的には昇降機メーカーに案を作成して頂くのがよいかと思います。

■メリット:

①VE案とは言いながらも、昇降機の仕様をパースなどを使用し、発注者に確認してもらえるため、完成した後「こんなイメージではなかった」と言われることが少ない⇒手戻り減少

■デメリット:

①昇降機メーカーにVE案を提案してもらうとかなりの数があるので、それの取りまとめが手間

■諸注意事項:

  1. 昇降機はVE案の宝庫なので、必ず実施しましょう。ただ、パースを作成したり、壁・床のサンプルなどの用意でかなりの時間がかかるので、早めに動くことをお薦めします。
  2. VEとは言いながらも、CD(Cost Down)のような項目もある場合、「違う工事でかなりの追加がありコストアップをしてしまったので、このCDを認めてください」など、単品で勝負するのではなく、全体を見て勝負してください。どんな局面でも全体を俯瞰することはとても大事です。

番外編のVE案についてのまとめ

なぜ着工前のフェーズでVE案を記載させて頂いたかというと、何事にも初期の計画が大事であるからです。

ちなみにVEとは、Value Engineering(バリューエンジニアリング)の略称で、品質や価値を下げずに、コストを削減することを指します。

会社にメリットがあり、かつ自分の評価も上がるコスト削減については、初期の頃から計画を立てると、VEを獲得しやすくなります。

上記を参考に、早め早めの計画をおすすめします。